15話[☆] ページ31
何とも思わない学校の日。
ただ、心にあるのは父と母が今月末に帰ってくるという事だけだった。
小さい子供が良くやる後何回寝たら帰って来る?という状態。
放課後。何事も無くつまらない授業を受け終わっていつもの様に帰る支度をしている桜の前に琉司が立つ。
琉司は顔を上げた桜と必然的に目が合う。
ついでに周りの会話が一斉に止んで、琉司と桜の話題になる。
殆どの会話を耳にしても尚、ボーッとしている桜はこれに反論してもいい事が無いから黙っているだけだ。
そこに父と母の話題が入ってきたなら事態は違くなるが。
「おい。帰る支度終わったらツラ貸せや。荷物持って校舎裏来いよ」
琉司を知っている桜の事だから、何かあったのだろうと考えるのが筋だ。怖い事には変わりないものの、前よりかはマシになった。
周りは不良に目を付けられた哀れな陰キャ、可哀想に、まだ解放されていなかったのか、という解釈になっているだろう。
昔から他人に興味を示さなかった桜は周りを気にしていない。
それは父と母の影響も少なからずある。
人を見る目、それを桜は持っている。
だから、他人に興味を示さないのだ。
荷物を持って校舎裏に行くと既に琉司は居た。
「あ、あの…何か?」
「悪ぃな、学校で呼び出してしちまって。お前に逃げられたら俺がやべぇんだわ」
その言葉を聞いて桜は身構える。自分が居ないと琉司がやばくなる事?!と心の中で焦っている。
ただ、それを感じさせないポーカーフェイス。
「あー…まぁ別にヤベぇことに手ぇ出してるわけじゃねぇから安心しろ」
言うだけじゃ安心できねぇかもしれねーが信じて欲しい。そう琉司が言った言葉に嘘は無い。それを確認した桜は体の力を抜く。
「あ、そういえば、昨日の料理美味しかったです。ありがとうございます。豚キムチ丼、大好きなんです」
と微笑んで言う桜。
「…そりゃ良かったよ。あんくらいで良けりゃまた作ってやる」
という琉司の言葉を聞いて桜は心の中で喜ぶ。
が、琉司が目を逸らした事に気がついた。何故?という疑問ばかりが頭の中を埋め尽くすが、ここに呼んだ目的はこれじゃないだろうと思い、頭の中から消す。
「いきなりで悪ぃんだけどよ、今日家に来てほしい。姉貴が、桜に会いたいって言ってんだ」
琉司の姉。桜の脳内にあるのは怖い人というイメージ。あれやこれやと桜の脳内でネガティブな思考になっていく。
「つーわけだから行くぞ。逃げんな。姉貴の言葉は絶対だ」
琉司は桜の意思をガン無視した上で桜の腕を掴む。琉司は慌てふためく桜を見ながら、引きづって行く。
53人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
埋夜冬(プロフ) - 桧さん» 返信遅くなりすみません!続編にいくので、引き続き応援よろしくお願いします!コメントありがとうございました! (2021年9月7日 18時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
桧 - めちゃめちゃ面白いです!!更新楽しみに気長に待ってますね!! (2021年8月6日 0時) (レス) id: f7e0d06981 (このIDを非表示/違反報告)
ひらり(プロフ) - あおん。さん» コメントありがとうございます!ゆっくりとした更新になりますが、これからも応援の程宜しくお願い致します! (2020年9月28日 13時) (レス) id: 39d75deffc (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - あおん。さん» ありがとうございます!ちまちま更新していきますが、これからも応援よろしくお願いいたします! (2020年9月28日 8時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
あおん。 - 面白いです!更新楽しみにしてますね! (2020年9月28日 4時) (レス) id: 71950dc544 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:埋夜 冬 | 作者ホームページ:http://uratuku/sounewawawa1
作成日時:2020年3月1日 13時