53冊目 ページ13
何だかものすごく罵られた気がする。とりあえずポンコツじゃないと言っておいた。
「いいやポンコツだね。だってAがいない生活、もう考えられないんでしょ?」
「うん」
即答だった。これだけわかっててどうして肝心な部分が分かっていないのか。何なんだコイツ。本当に何なんだ。実はBL書いてないんじゃないのかと頭を揺らして聞きたいくらい鈍感だ。
「あんたモテるけど彼女出来てすぐ別れるタイプでしょ」
「……何で分かった?」
やっぱりか。湊は告白されたから付き合う、とか言いそうなタイプだ。相手の方は湊のことを好きだから振り向いてもらえるように仕掛けるが、そんなこと湊は気付かないだろう。そのうち愛想つかされて別れる。
「乙女心わかってなさそうだなって思ったから」
女子は彼氏や男子にいつもとの違いを気付いてほしい人が多い。それに気づけないようじゃ飽きられる。湊はその典型的なタイプだろう。鈍感め。
「てかさ、どうしようとか言う前にとっとと行動したら?行動しなきゃどうしようもないじゃん。相談する前に何かしら動いてくれる?それで無理だったら相談してよ」
凛音はビシッと痛い所を突いてくる。だから余計刺さるのだ。
「俺が辞める、とかになるなら別にいいけどAに何かあったら嫌だ。それにやっぱりAに作品編集してほしい。そうすると問題が起こらない範囲で出来る行動が狭まる」
するとまた凛音から深いため息が聞こえた。小さい声だったが「マジこいつ一発殴っておきたい…」とも聞こえた。怖い。
「ウジウジしない!動け!何もいちゃもん付けろとか言ってるわけじゃないでしょ!?取られたくないならその嘉川ってやつと話してこい!!そういうタイプって本気出したら早いんだから!!」
恐らく自分と嘉川は似たような性格の持ち主だろう、と凛音は予測する。自分に近いのであれば、ほしいと思ったものは外堀から埋めて逃げ道を無くし自分のものにする精神も同じだろう。話を聞く限りすでに外堀はじわじわと埋められている。
「……そうだな。一度話してみる。ありがとう天宮凛音」
「ふんッ!せいぜい頑張ったら」
凛音は残りのロイヤルミルクティーを飲み干した。
「どうして相談に乗ってくれたんだ?」
「あんたが予想以上にポンコツだったから!」
凛音はAを幸せにしたい。でも、Aを幸せに出来るのは凛音じゃない。それを分かっているのだ。こんなポンコツではAが可哀想だ。
僕にしてくれれば良かったのに。
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埋夜冬(プロフ) - 白澤 晴夜さん» ありがとうございます!返信遅れてごめんなさい!キュンキュン出来ていたなら良かったです(*´ω`*) (2019年12月14日 13時) (レス) id: 87a5a46f37 (このIDを非表示/違反報告)
白澤 晴夜(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう最後までキュンキュンしながら読ませて頂きました〜!!この2人には、これからも永遠に幸せでいて欲しいです!!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年12月13日 22時) (レス) id: 5742d2c832 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ゼロさん» 返信遅くなりすみません!ドキドキしていただけたなら作者も満足です!次回作もよろしくお願いします! (2019年12月7日 10時) (レス) id: b51b60f8c3 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 唳桜さん» 返信遅くなりすみません!可愛く書けていたなら良かったです!次回作も作ったのでぜひ読んでみてくださいね!この作品を読んでいただきありがとうございました! (2019年12月7日 10時) (レス) id: b51b60f8c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - とても面白かったです。僕自身とても好きなジャンルで読んでてとてもドキドキしました!完結おめでとうございます。これからも応援しています。頑張って下さい(^▽^)/ (2019年12月1日 11時) (レス) id: aaae856515 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年8月10日 22時