26冊目 ページ29
ついに来た。今日は凛音との2回目の打ち合わせだ。一発言ってやろうかとも思ったが、俺が何か言ったことでこの企画がつぶれてしまう可能性がある。それではAが可哀想だ。どうやらAも今回はキツく言うようだし、ここは黙っておこう、と湊は思っていた。
過去形なのは、凛音の対応とAの反応が納得いかなかったからだ。
「A〜、ごめんね？僕こんなになるとは思ってなかったの〜！男が好きなんじゃなくて、Aが好きなんだよ！でもそれを言っても怒るって言うんだよ紅葉が！僕Aに嫌われたら死んじゃう〜！怒らないで？」
開口一番凛音が言った言葉がこれだ。怒らなくとも注意はしないといけないぞ、と思いを込めてAを見たが駄目だった。あれは完全に凛音のペースに飲まれている顔だ。
「お、怒りはしないけど……」
「え？ほんとに！？怒ってない！？良かったぁ〜」
“けど”って言葉は凛音に聞こえてないのか！？
と湊は突っ込もうとしたが止めた。多分、というか絶対体力と精神力の無駄だ。
Aは元気になって堂々と入ってくる凛音にため息を漏らしつつ、仕方ないなぁと笑っていた。だから俺は、Aがロイヤルミルクティーを淹れている間に代わりに言うのだ。
「うちの専属編集者に迷惑を掛けないでください」
当然凛音からは、はぁ？という声が返ってきた。
「あの1件のせいでAは愛川に怒られたらしいですけど、それでも天宮さんは反省していないみたいだから」
キョトンとした凛音だが、すぐに顔色が青褪める。
「……え、A怒られたの？」
この反応、もしかして凛音はAが怒られたことを知らないのだろうか。
「はい。怒られたというか、やってはいけないことを確認しなかった君も悪いね、と注意を受けたと本人は言ってましたけど」
つまりAは僕のせいで愛川に怒られた。僕、Aに嫌われちゃう？
そう考えたら凛音は凛音で居られなくなる。凛音が漫画家で頑張ってこれたのはAのおかげなのだ。本人は覚えていないかもしれないが。
「……謝んなきゃ」
凛音はやっと心の底から反省した。
Aに関わることは全部知っておきたい。嫌われないために。ずっと一緒にいたいから。
自分がAに依存しているのは自覚している。だからAがいなくなったら壊れる。
ロイヤルミルクティーを持って戻ってきたAに、凛音は本気で謝った。
Aが笑顔で許してから2回目の打ち合わせがスタートした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 671人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
通りすがりの葉っぱ(プロフ) - 有難うございます！ (2019年8月17日 12時) (
レス) id: a112452463 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 通りすがりの葉っぱさん» ない……ですね。設定してませんでした。私は妄想するとき夢主くんを「涼(りょう)」と呼んでます！自由に付けてくださって大丈夫ですよ！！ (2019年8月17日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの葉っぱ(プロフ) - 主人公の名前って設定無しだと何になりますかね？ (2019年8月16日 14時) (レス) id: a112452463 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - アリアさん» そ、そんな……！(照)ありがとうございます！ライバルというか引っ掻き回すというかーって感じなんですけど、その分キュンキュン度をあげていきたいと思います！お楽しみに！！☆ (2019年8月10日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - えちょっと続編すっごい面白そう...いや、この作者を疑うのは止めよう。絶対面白いよ!凜音の小説も待ってます☆ (2019年8月9日 18時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：埋夜冬
| 作成日時：2019年4月23日 23時
