21冊目 ページ24
Aは一先ず凛音を応接室へ案内した。湊とAが初めて出会ったときに案内された部屋だ。
「天宮さん、」
「敬語嫌だし、凛音って呼ばないと話聞いてあげないもん」
Aは一編集者としての立場があるのだが、凛音はそんなこと知らない。湊と同じで、多少のわがままが通るからだ。
Aが困って愛川に視線を向けると、愛川は頷いた。言うことを聞いておけということだろう。
「凛音、紹介するね。俺が編集者になって初めて担当する小説家の、九条湊先生だよ」
「知ってる。絶対サイン会をしないミステリアス作家でしょ。小説の世界ではまるで自分のことのように感じられる、天才BL作家」
にこり、と意味ありげに笑みを深めた凛音は手を伸ばした。
「僕は天宮凛音。よろしくね」
その瞬間、湊は凛音を警戒した。
あまりにも含みのある笑顔、笑っていない視線。可愛い顔をしているが、この空気は完全に湊を品定めしている。
おそらく決断を一歩間違えれば、今から話そうとしている計画は無くなってしまう。
「よろしく、お願いします」
湊は凛音の手を握り、微笑んだ。完璧であり、胸のうちが全く分からないような微笑みだ。
普段無気力な分、こういう時のやり方はわかっている。気に入られれば大変な仕事は回ってこない。この程度の世渡りなら心得ている。
「あ、俺、飲み物持ってきますね！九条先生はいつものロイヤルミルクティーでいいですか？」
「うん」
いや、今回は集中力が必要そうだからコーヒーでもいいな、と湊は思う。
「A、僕もロイヤルミルクティーがいい」
「私もそれで頼めるかな」
凛音と愛川の注文も聞き、Aはパタパタとキッチンの方へ駆けていった。
そのあとすぐ、愛川の携帯に電話が掛かってきたことにより愛川は退出。
つまり今は、
「………」
湊と凛音の二人きりだ。
何が怖いって二人になった瞬間、凛音の笑顔が消えたことだ。
「……ふーん、君がAの担当作家さん、ねぇ」
足先から頭の上までじっとり見られた湊は少しの不快感を交えながらも聞く。
「Aとは、どういう関係なんですか」
「ふふ、やっぱり気になるんだ？」
いきなり勝ち誇ったような笑みを浮かべられた。何なんだ。
「Aは優しいから、そういう風に気になっちゃう子は多かったんだよね〜。僕はAの従兄弟。昔からずーっと、そういう奴等からAを守ってきたの」
凛音は真顔になる。冷ややかな声でこう告げた。
「Aはあんたに渡さない」
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通りすがりの葉っぱ(プロフ) - 有難うございます！ (2019年8月17日 12時) (
レス) id: a112452463 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 通りすがりの葉っぱさん» ない……ですね。設定してませんでした。私は妄想するとき夢主くんを「涼(りょう)」と呼んでます！自由に付けてくださって大丈夫ですよ！！ (2019年8月17日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの葉っぱ(プロフ) - 主人公の名前って設定無しだと何になりますかね？ (2019年8月16日 14時) (レス) id: a112452463 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - アリアさん» そ、そんな……！(照)ありがとうございます！ライバルというか引っ掻き回すというかーって感じなんですけど、その分キュンキュン度をあげていきたいと思います！お楽しみに！！☆ (2019年8月10日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - えちょっと続編すっごい面白そう...いや、この作者を疑うのは止めよう。絶対面白いよ!凜音の小説も待ってます☆ (2019年8月9日 18時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2019年4月23日 23時
