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3冊目 ページ5

「あ〜……今日は挨拶だけ?」

「はい」

愛川から特に何も言われていない。ならば今日は挨拶だけでいいだろう。
そういえば、

「あの、九条先生は何てタイトルの恋愛小説を描いていらっしゃる方なんですか?」

愛川からは恋愛小説の大人気作家としか言われていない。本人の口からも何も言われていない。大人気と言われるくらいなら知ってるタイトルの小説でもあるはずだ。

「恋愛小説……?――――あぁ、あの編集長か。また回りくどいことを……」

うざったいと言うふうに顔をしかめてため息を付いた九条は、Aを見て言い淀む。

「九条湊って調べたら出てくる」

九条湊……?聞いたことがない名前だ。
ただそれを本人の前で言うのは失礼なので、Aは分かりましたとだけ言っておいた。

「それじゃ、用は済んだでしょ」

暗に、帰れ、と言うと察したAは頷く。きっと執筆活動の時間をわざわさ割いてくれたのだ。編集者としてその時間の邪魔はできない。

「はい!お邪魔してしまいすみません!執筆頑張ってください!」

帰れという割には玄関までしっかり送ってくれる九条にお辞儀をして、Aは玄関を閉めようとした。

「あ、忘れてた。あの編集長にさ、採用って言っといてくれる?」

採用?一体何が採用なのだろうか。

「分かりました」

「うん、じゃあまたね」

最後に手を振った九条は例え気だるげな表情だろうと一枚の絵画のように綺麗だった。勿体無い。もっと笑顔になればいいのに。

ん?そういえば彼は今、またねと言った。もう会わないと思うが……。相手は天才大人気作家、自分は新人編集者だ。

小説であるならこれは次また会うフラグだな〜とAはボーっと考える。

Aは携帯を取り出し、検索エンジンを開いた。
『九条湊』。調べれば作品が出てくると言っていた。彼は一体どんな作家だろう。

検索結果に書かれていたことを見て、Aはギョッと目を見開いた。

《九条湊
18歳の頃に性同一性障害者を主人公とした小説を投稿。大賞を受賞しそこから小説家となる。現在はBLを主に書く作家として――――》

つまり、彼は。
同性でも惚れるほど綺麗な見た目をしていて、いるだけで絵画になるようなあの男は。



まさかのBL作家だった。

「え〜〜ッ!!!!????」

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通りすがりの葉っぱ(プロフ) - 有難うございます! (2019年8月17日 12時) (レス) id: a112452463 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 通りすがりの葉っぱさん» ない……ですね。設定してませんでした。私は妄想するとき夢主くんを「涼(りょう)」と呼んでます!自由に付けてくださって大丈夫ですよ!! (2019年8月17日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの葉っぱ(プロフ) - 主人公の名前って設定無しだと何になりますかね? (2019年8月16日 14時) (レス) id: a112452463 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - アリアさん» そ、そんな……!(照)ありがとうございます!ライバルというか引っ掻き回すというかーって感じなんですけど、その分キュンキュン度をあげていきたいと思います!お楽しみに!!☆ (2019年8月10日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - えちょっと続編すっごい面白そう...いや、この作者を疑うのは止めよう。絶対面白いよ!凜音の小説も待ってます☆ (2019年8月9日 18時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年4月23日 23時

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