33冊目 ページ36
困った。非常に困った。何故今自覚するのか。恋愛小説だったらもっと後なんじゃないか？
でも、仕方ない。好きになるって、恋ってそういうものだ。世の中には一目惚れだってある。
どこが好きかは言えてしまうし、気づいたら恋してるなんて自分が散々見てきた恋愛小説あるあるだ。
頑張れ自分。湊に悟られないように。ポーカーフェイスだ。得意ではないが、もしこの気持ちがバレて編集者をクビになることに比べたら楽なものだ。クビになったら生きていけない。いろんな意味で。
「出たよ。Aも早く入って、今日は早く寝よ？明日は寝坊しても誰にも文句言われないし、ゲームでもして過ごそう」
ね？とAを見つめる湊。お風呂上がりなので顔が赤く、普段結ばれている髪の毛はほどかれ、そこから垂れた水が頬をなぞる。その姿は妙に色気が漂っていて―――――。
「そ、そうですね！ではすぐ入ってきます！」
心臓がおかしい！というか、何そんなに意識してるの自分！！あれいつも見てたじゃん！
熱が溜まっている顔に気付かれないように下を向いてお風呂場へ向かう。
改めて見たらイケメンだった。多分何かの作品なんじゃないかってくらいに綺麗だった。何で俺は今まであの絵画みたいな人といて平気だったんだ？事案レベルの疑問点だ。
何というか、やっていけそうにないなぁと思う。かといって専属編集者は辞めるつもりはないが。どうしたって意識してしまう。
駄目なのに。相手には全くその気がないんだから。BL小説を書いているからって、男同士の恋愛を自分がするとは思ってないだろうから。
「……側にいるだけで幸せだって、思わないと」
それは、湊の小説の中で主人公の友人が言っていた言葉だ。その友人は主人公のことが好きで、でも主人公は違う相手が好きでよく恋愛相談をされていた。結局友人の恋は叶わなくて、想いを伝えないままその友人は、友人であり続けていた。友人であり続ける覚悟をしたときに友人が言った言葉だ。側にいるだけで、幸せだと。好きな人の恋を応援するのが、ソイツを好きな奴のすることだと。
この恋を諦めはしない。かといってアタックもしない。好きな人と事実上同居していて、側にいて、会話が出来るのだ。ほかの人のする恋愛よりは接点が多い。それだけで十分じゃないか。
「うん。俺には十分だよ」
そう一人ごちてお風呂を上がる。いつも通りに戻るのだ。
ほんの少し、接する気持ちが変わるだけ。
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通りすがりの葉っぱ(プロフ) - 有難うございます！ (2019年8月17日 12時) (
レス) id: a112452463 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 通りすがりの葉っぱさん» ない……ですね。設定してませんでした。私は妄想するとき夢主くんを「涼(りょう)」と呼んでます！自由に付けてくださって大丈夫ですよ！！ (2019年8月17日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの葉っぱ(プロフ) - 主人公の名前って設定無しだと何になりますかね？ (2019年8月16日 14時) (レス) id: a112452463 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - アリアさん» そ、そんな……！(照)ありがとうございます！ライバルというか引っ掻き回すというかーって感じなんですけど、その分キュンキュン度をあげていきたいと思います！お楽しみに！！☆ (2019年8月10日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - えちょっと続編すっごい面白そう...いや、この作者を疑うのは止めよう。絶対面白いよ!凜音の小説も待ってます☆ (2019年8月9日 18時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2019年4月23日 23時
