螢光ペン様リク 嬉しいけど ページ43
ざわざわと周辺のクラスがうるさい。特に女子のグループが騒いでいる。何だろう、と聞き耳を立てた蒼はあり得ない発言についその方向を向いてしまった。
「高2の高城先輩、めっちゃかっこよかった!さっき見たの!金色の目、ちょー綺麗だった!」
高城先輩!?金色の目!?
どういうことだ?目立つのが嫌いなAが、わざわざそんなことするはずない。
居ても立ってもいられなくなった蒼は2年生の教室まで行くことにした。
「A先輩」
なんて声を掛けたが聞こえていないようで。
クラスメイトに囲まれているAは慌てているが少し嬉しそうに見えた。ヘアピンで前髪が留められていて、あの宝石が煌めいている。完全に家にいる時と同じ雰囲気だ。
あまり周りと会話をしないAが話していて嬉しいような、でも自分の声も聞こえないのかとちょっぴり寂しいような。
「嫉妬してるの?腹黒後輩くん。まあそうなるよねー。今まで自分だけが見てた素顔をクラスメイトに見せてるんだもんねー。全くAったら彼氏心が分かってないんだから」
いつの間にか桃華が蒼の近くでAを見ていた。しかし蒼には目もくれない。相変わらずこの人は、話してないのに胸の内を暴く。蒼は未だに桃華が怖い。
「先輩の言う通りですよ。嬉しいですけど、嫌ですね。変な虫がつかないといいですが」
「そこは私に任せて。同盟だからね。ちなみに今はAが幸せそうだから止めないよ」
それにこのままにしておくと蒼の嫉妬が見れる。腐女子としては重大イベントだ。欲望に忠実に過ごす。
でもまぁ、その嫉妬でここまで来たなら十分か。仕方ない。また私がキューピッドになってあげよう。桃華は息を吸った。
「Aー!東雲くんが聞きたいことがあるんだって!」
クラスメイトから離れたAを蒼は「こっちへ」と連れていく。嘘の事情を説明してくれるであろう桃華にはあとでお礼をしないとな。
「…Aに友達ができるのは嬉しいけど、皆にAの素顔見られるの、ちょっと嫌」
人気がないのをいいことに素直に告げた蒼は顔が赤い。つられて顔を赤くしたAは、蒼に触れるだけのキスをした。
「その………こ、恋人としての顔は、これからも蒼だけにしか見せないけど……それじゃ、駄目?」
身長的に上目遣いになるA。あの台詞とセットとか、蒼を萌え死させる気なのか。
好きだなぁ、と改めて思う。
蒼は答える代わりに甘いキスを送った。
俺の愛しい人は、今日もこんなに可愛い。
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埋夜冬(プロフ) - ウェーイさん» 喜んでいただけているご様子ですね!嬉しいです! (2021年7月10日 22時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ウェーイ - (*^▽^*) (2021年7月10日 22時) (レス) id: 600bb56534 (このIDを非表示/違反報告)
トマトジュース - アギャァァァァァァ!!無理尊い、辛い、泣けるンゴ、吐血するンゴ、つかしたんご (2019年9月19日 22時) (レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
カナ - (^∇^) (2019年7月13日 14時) (レス) id: 99b9fc8fa9 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - カナさん» ありがとうございます!もうすぐ終わりますのでお楽しみに☆ (2019年7月12日 7時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作者ホームページ:http://uratuku/sounewawawa1
作成日時:2019年3月5日 23時