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我慢だ。恥ずかしくても我慢だ、高城A!と自分に言い聞かせた。蒼の可愛いわがままを聞くのだ。兄としても、恋人としても。

「君は、ずっと俺を守ってくれました!辛いとき傍にいてくれたのも、何も言わず抱き締めても受け入れてくれたのも、全部君だった!君だって辛いのを、俺は分かってたのに、それでも君は笑っていた!弱い自分が情けなくても君は、そう言える蒼は強いと元気づけてくれた!君は自分のことを卑怯だと言うけれど、俺は誰よりも優しいと思ってる!優しくて、温かくて、綺麗だ」

それは蒼の心からの叫びだった。ずっと思っていたことも前に伝えたことも、全部もう一度言わせてもらう。Aに自尊心が足りないのを、蒼は誰よりも分かっているから。

ねぇ、A。俺はこんなにもAのことが愛しくて堪らないんだよ。

「好きです。何度でも言うよ。俺は君が大好きです。もう一度、ここで言わせて」

沸騰したのか聞きたいくらい真っ赤な顔のAの前に、蒼は服が汚れるのも構わず舞台にひざまづいた。

「俺と付き合ってくれますか?」

ここで言ったのは蒼の覚悟だ。Aを絶対守ると誓うために。もうあんな思いしないし、させないために。

Aは喋りたい口を押さえ何度も頷いた。もちろん!と言いたい。どうしよう、泣きそうだ。

蒼は立ち上がるとともにAを引っ張り腕に収める。頬に手を添え、潤んだ瞳で見つめる愛しい人にキスを送った。

唇を離したとき、蒼は気づく。Aは花が咲くような顔で、ふわっと笑っていることに。今までに見たことない顔だ。こんな可愛い顔したら周りが惚れてしまう。蒼はAの後頭部を持ち自分の胸板に引き寄せた。

「これが俺の叫びです。ずっと伝えたかった。桐島先輩の一件がやっと落ち着いたので、俺は今後この子と歩んでいきます」

抱きしめられる手が緩んだと思ったらまた姫抱きされた。

「それでは。ご静聴ありがとうございました」

蒼はそう言うと舞台を下りてまた走っていった。

観客も司会の先輩も、蒼の大胆な告白宣言に驚いて先程から一言も話していない。途中から野次も飛ばなくなった。蒼の真剣さがまわりに伝わったのだろう。

蒼の告白を聞いていた皆は思う。
蒼があれだけゾッコンなら、告白しても勝ち目はないと。

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埋夜冬(プロフ) - ウェーイさん» 喜んでいただけているご様子ですね!嬉しいです! (2021年7月10日 22時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ウェーイ - (*^▽^*) (2021年7月10日 22時) (レス) id: 600bb56534 (このIDを非表示/違反報告)
トマトジュース - アギャァァァァァァ!!無理尊い、辛い、泣けるンゴ、吐血するンゴ、つかしたんご (2019年9月19日 22時) (レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
カナ - (^∇^) (2019年7月13日 14時) (レス) id: 99b9fc8fa9 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - カナさん» ありがとうございます!もうすぐ終わりますのでお楽しみに☆ (2019年7月12日 7時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作者ホームページ:http://uratuku/sounewawawa1  
作成日時:2019年3月5日 23時

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