55歩目 ページ15
時は遡ること30分前。Aたちが通っている高校の4階で、彼女はスマートフォンを下に向けていた。
《いい？貴方みたいな底辺な人が蒼に近付かないで。汚いわ。根暗は根暗らしくこそこそ本でも読んで、世間の邪魔にならないように生きてちょうだい》
あ〜あ、麗ちゃんたらあんなことしちゃって。
彼女の口角はニヤリとあがった。桐島麗の行動と相まって、今のは決定的ないじめの証拠となるだろう。
只今桐島麗が校舎裏でしている事件を録画中の高性能な携帯は、桐島麗の発した言葉を１つとして聞き逃していない。これから桐島麗に起こるであろう事柄に、彼女の頬は興奮で色づいた。
桐島麗はAに平手打ちをした。先程から証拠物件のオンパレードだ。言い逃れ出来ないことばかりしている。こちらとしてはありがたいが。
さて、そろそろかな。と彼女は下に注目した。録画を停止する。ここからはずっと待っていたお楽しみだ。やっと、やっとここまで来た。少しぐらい自分にご褒美だからこれは覗きじゃないと心に言い、ニヤニヤと頬を緩めた彼女はバレないように観察を再開する。
「先輩っ！！」
うぉぉキタァァァァ！！！
彼女の脳内は大荒れだ。この日のために蒼の靴箱に「校舎裏。Aが桐島麗にいじめられている。」なんて怪文を出したのだ。
よくやった私！と内心ガッツを決めながら心のペンライトを振って蒼を応援する。
「俺の大切な人を傷つけるなｯ！！！！！」
言ったァァァァァァ！！
王子様の剣幕のかっこよさとその発言に彼女は壁をペシペシ叩いた。萌えだ。
「俺の好きな人は、A。兄さんなんだよ」
フォォォォ！！！ああついに告白しちゃったよ王子様！ああもうAが動揺して動いてない！可愛い！もっと間近で見たいぃぃ！！
推しCPの告白が下で行われている事実に彼女の心臓は止まりそうだ。死因は萌えの過剰摂取。何その死に方最高じゃないか！と自分で突っ込んだ。
尊さに感謝しているといつの間にか推しCPはいなくなっていた。帰ったのだろう。腐女子には眼福でしたありがとう、ともう一度拝んでからメールアプリを開く。
『おじいちゃん』と入っている人に先程の麗の動画を送る。これで麗への制裁は下ったも同然だ。おじいちゃん――――――わが校の理事長は、弱い人に優しいから。
彼女の仕事はこれでほぼ終了。桐島麗への制裁が楽しみだ。
「全く、条件はAを今後いじめないことって言ったのに」
破ると思ってたけど。
彼女――――天宮桃華はため息を吐いた。
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埋夜冬(プロフ) - ｳｪｰｲさん» 喜んでいただけているご様子ですね！嬉しいです！ (2021年7月10日 22時) (
レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ｳｪｰｲ - (*＾▽＾*) (2021年7月10日 22時) (レス) id: 600bb56534 (このIDを非表示/違反報告)
トマトジュース - アギャァァァァァァ！！無理尊い、辛い、泣けるンゴ、吐血するンゴ、つかしたんご (2019年9月19日 22時) (レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
カナ - （＾∇＾） (2019年7月13日 14時) (レス) id: 99b9fc8fa9 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - カナさん» ありがとうございます！もうすぐ終わりますのでお楽しみに☆ (2019年7月12日 7時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作者ホームページ：http://uratuku/sounewawawa1
作成日時：2019年3月5日 23時
