兎8匹 ページ11
人間は何故勉強するのか。Aは教えてもらいながら馬鹿な頭で考えた。ただいくら考えても『何故か分かっていないなら勉強しなくても意味ないのでは』という結果になってしまう。せっかくやる気にもなっていて、教えられている身でもあるためその考えはいけないと頭から消去するが、では何故勉強するのかと聞かれると答えが出てこない。嫌な問題だ。
「天崎くん、聞いてますか？」
「あ？もちろんばい！ここの式にこの式を“代入”するとね」
「はい、その通りです。そしたらこの式が解けますよ。頑張ってください」
テストが始まるまで残り１週間。生徒達も皆緊張した面持ちになってきて、教師たちの雰囲気はピリピリしている。そんな中Aは儚さと柔らかなオーラを纏った人気No.1の保健教諭と勉強。周りからしたら羨ましい限りだろう。
「ほら出来たばい」
彩兎の優しい且つ少々スパルタが入った指導とA自身のやる気のおかげで、高校１年の過程を終えた。今は高校２年の勉強をしているところだ。上手くいけばテストまでに間に合う。
「満点です。さすがですね。数学は大体大丈夫そうですから、次は現代文と古典をやりましょうか」
Aは社会全般と理科全般は勉強を終えた。数学は今終了した。残るは国語科目。だがAは国語科目が苦手だった。古典は単純に何が書いてあるか分からないだけで、分かるようになれば問題ない。問題があるのは現代文の方だ。
作者の心情、主人公の心情、この話を通して何を伝えたいのか、Aはそれが分からない。なので国語科目だけ点数が上がらない。
「う〜ん。本を読んだり、昔お母さんに童話を読んでもらった経験は？」
母親なんて実の息子であるAより全く知らない男を大事にするような腐った奴だ。飽き性で、要らなくなったら物だろうと人だろうと容赦なく見切りをつける奴に読んでもらった経験は愚か、愛された経験すらない。
「………そんなもん、なか」
いつもより低いAの声と悲しそうに見えた横顔に、彩兎は何かあったことを察した。同時に聞くには覚悟が必要なことも。
「天崎くん、少し休憩しましょうか」
気まずい沈黙を破って彩兎が聞くと元気がなくなったAは頷いていつもの位置に座った。首輪付きの黒猫のぬいぐるみを抱きしめていると、彩兎は隣に座りAを見る。
「話なら聞きますよ」
「……面白い話じゃなかよ」
「分かってますよ。でも、」
Aのことですから、知りたいんです。と彩兎は少し微笑んだ。
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埋夜冬(プロフ) - 。#vllさん» そうなんですか！？これの発案者は作者のお友達なんですけど、その子がどうしても兎を名前に入れたいって言ってました。ヤンデレ好きなので関係しているかもしれないですね！最後までお読みくださりありがとうございました！ (2019年10月25日 23時) (
レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
。#vll - 兎系の人はやんでれと聞いたことがあります、彩兎くんの名前と関係してそー。と勝手に考えていました。とても面白い作品でした。♪ヽ(´▽｀)/ (2019年10月25日 12時) (レス) id: 01ebef5845 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 紫園さん» どうもありがとうございます！二人とも尊く書けたのからよかったです！方言は私も書いてて楽しかったです！この作品を好きになっていただきありがとうございました！ (2019年5月1日 18時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
紫園(プロフ) - 最後までお疲れ様でした！本当に尊い2人です(´；ω；｀)方言とかも最高でした！ (2019年4月28日 16時) (レス) id: a3fbe17e50 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 李守文さん» 嬉しい限りですありがとうございます！！！私も博多弁書いてて楽しかったです！そして同じように日常で使いました(笑) 今後も作品を出していきますのでどうぞよろしくお願いします！この作品を好きにいただいてありがとうございました♪ (2019年4月27日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2019年1月26日 16時
