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願い 31 ページ32

自覚が無いわけではなかった。
悪魔と一緒にいる間に心を開いている自分がいる。悪魔が大切でなかったらあの大切な花畑に連れてかない。
だが、悪魔と似てるってだけで自然と表情筋が緩んでしまうとは思ってなかった。上杉は悪魔と性格が似ているからか。それだけなのに、自分はこんなに……。

そんなのまるで――――――恋みたいじゃないか。
顔が熱い。きっと今の顔は真っ赤なのだ。
悪魔が覗く。彼には僕がどんな風に見えているのだろう。

「……ぜんぶ悪魔のせいだ…」

「え、俺のせい!?何がだ!?」

これは恋じゃない。僕は今まで恋なんてしたことがないから、友情とか、もっと別のものと間違えているんだ。

そう言い聞かせても、鼓動は変わらない。
そう言い聞かせても、顔の熱は収まらない。
そう言い聞かせても、悪魔から離れなきゃなんて、思わなかった。

馬鹿だな。ああ、本当に馬鹿だ。
叶うわけない。それに、こうして居られるだけで十分じゃないか。変化は求めない。この生活が好きだ。変わって欲しくない。

「……忘れて」

そう。いつも通りでいい。好きは好きの気持ちのまま、言わなければいいのだ。死ぬ前に知れただけで十分。

「そう言われると益々気になるんだが……」

「いいの」

そう、十分。
考えると鼓動が落ち着いた。顔が熱いのも収まった気がする。

さて、食事にしよう。
上杉が作ってくれたらしい卵雑炊をよそう。出汁がきいててとても美味しかった。何故か食べている間悪魔は不服そうだったが。

「美味いか?」

「うん。僕が好きな味」

「ふーん、そ」

触れられたら、俺だってお前の好きな味作れるし。だいたい何で卵雑炊を大学生が作ってんだよ。もっとガッツリしたもの作ってボッチで食べてろよ!!

悪魔がなんかブツブツ言っているが放っておこう。こういう風な生活を最期まで続けられたらいいな。

「Aは、何が好きなんだ?食べ物とか」

「好きな食べ物?……カレーとか」

母さんと父さんと、元気な時に一緒に作った。すごい甘口で、野菜が全部溶けてるカレー。美味しかった。

「今度、作ろうかな」

「いいな!俺も食べたい!…って、食べれないんだった……」

割とガチめにガッカリしているのが何だか面白かった。まぁでも、いつか食べさせてあげれたらいいな、なんて。

思ったところで、無駄だろうけど。

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ルティン - はい!応援しています!また読みに来ますね! (2021年8月3日 18時) (レス) id: bdebe086bb (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ルティンさん» 嬉しい限りです!!この作品をこんなに好きになって下さりありがとうございます!これからもっと精進致しますのでよろしくお願いします! (2021年8月3日 16時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ルティン - この作品ほんとすごい!もう3回も読み返しています…!しかも期間を空けて!何度も読みたくなる、素晴らしい作品をありがとうございます!!これからも頑張ってくださいね!! (2021年8月3日 15時) (レス) id: bdebe086bb (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ゆきさん» うわぁぁ嬉しいお言葉ありがとうございます!!泣かせたかったので泣かせられたなら満足です(笑)最後までお読みくださりありがとうございました! (2020年7月11日 9時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 一言いいですか?...神作者じゃないですか!?貴方様の小説最高すぎるんですよ?!思わず泣いちゃったじゃないですか!...以上、長文失礼致しました。 (2020年7月11日 9時) (レス) id: 1ca0293e4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年12月7日 8時

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