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願い 16 ページ17

どこかで何か叫んでいるのが聞こえた。すごくうるさい。そのうちそのうるさいのが、自分の名前を呼んでいることに気付いた。

目を開ける。眩しい照明に目を細めて瞬きをする。慣れてきた。この匂いは……病院?

「A!!良かった!目が覚めたんだな!」

顔を覗き込んで安心したのはオルバだ。紅い瞳がいつもより潤んでいるのは気のせいだろうか。

自分はまた目を開けてしまった。次の発作で最後だと思っていたのだが、まだ神様は自分を生かす気らしい。ご丁寧なことに酸素マクスが付いている。

「おーい、A?え、生きてるか?もしやどこか痛むのか!?そうだ医者を……って俺の体じゃ呼べないんだった。ああ、えっとどうすれば……」

うるさいよ、悪魔。
そう言おうとして、

「ッ、ッ――――――――――!?」

声が出ないことに気付いた。
それに体も動かない。瞬きは出来るのに、他には何も。

「あら、起きたの。医師(せんせい)、木崎さん起きました」

動かない恐怖に体を震わせていると看護師が入ってきた。医師(せんせい)を呼び数人の看護師に指示を出す。

「体は大丈夫かしら?ああ、喋らなくていいわ。しばらくは動かないだろうから」

つまり体が動かないことが正常ということだ。何故動かないのかは分からないが非常事態ではなさそうなので体の緊張を解く。

そこに初老の男性が来る。幼い頃この病気が発覚してから担当医である坂本医師(せんせい)だ。

「やあAくん、久しぶり。早速本題に入らせてもらうけど、あまり良くない状態だね。今は体が動かないだろうけど、それは体が最低限の呼吸でしか肺を動かしてないことと、ずっと眠っていたからだ。そのうち戻るからね」

今はやっと指が動かせるようになった。なるほど、僕の体はデータの読み込み中ってところか。

医師(せんせい)はリモコンを押してベッドを動かし、僕を座っている状態にした。

「まずはこれを」

出されたのはたくさんの折れ線グラフ。どれも、どんどん下降しているのが分かる。

「病気が発覚してからの君の体のいろいろな数値だ。見ての通り、下がり続けている。どの数値も危険な状態なんだ。死んでしまう手前なんだよ」

医師(せんせい)はAを見る。

「君は運ばれてから1週間目を覚まさなかった。次に倒れたときが最後だ。この数値がさらに下降するのであれば――――死に至る」

「ッ!!」

息を飲んだのはオルバで、Aは、何も感じなかった。

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ルティン - はい!応援しています!また読みに来ますね! (2021年8月3日 18時) (レス) id: bdebe086bb (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ルティンさん» 嬉しい限りです!!この作品をこんなに好きになって下さりありがとうございます!これからもっと精進致しますのでよろしくお願いします! (2021年8月3日 16時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ルティン - この作品ほんとすごい!もう3回も読み返しています…!しかも期間を空けて!何度も読みたくなる、素晴らしい作品をありがとうございます!!これからも頑張ってくださいね!! (2021年8月3日 15時) (レス) id: bdebe086bb (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ゆきさん» うわぁぁ嬉しいお言葉ありがとうございます!!泣かせたかったので泣かせられたなら満足です(笑)最後までお読みくださりありがとうございました! (2020年7月11日 9時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 一言いいですか?...神作者じゃないですか!?貴方様の小説最高すぎるんですよ?!思わず泣いちゃったじゃないですか!...以上、長文失礼致しました。 (2020年7月11日 9時) (レス) id: 1ca0293e4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年12月7日 8時

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