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願い 15 ページ16

そのあともオルバは楽しそうに歌う。もともと声が良いので、聞いていて心地が良い低音だ。バラードよりも元気な曲が似合う。オルバがまるで青春を楽しんでいるかのように明るい笑顔を煌めかせるから。

こんなに覚えるくらい、何度もカラオケに来ていたんだなぁ。それも、僕と来たいと思ってくれていたなんて。性格が犬みたいだ。

そう考えたらオルバの角が犬の耳に見えてきて、フッと笑ってしまった。オルバが歌いつつ「どうした?」と目線を投げる。何でもない、と首を振る。

人間みたいな悪魔。お前は純粋だから僕なんかよりもっと良くしてくれる人を探せばいいのに。なんて思っていた。

「ッ―――――――――!?」

くらり。
一瞬視界が暗くなる。平衡感覚がなくなって、力が抜けた。

何故こんなときに…!
自身の体がどうなるのか不安だ。家に帰るしかない。
オルバも丁度歌い終わった。話すなら今のうちだろう。

「……帰る。君はまだ歌ってていいから」

「え?」

早くしないと店に迷惑がかかる。手早く会計を済ませて早歩きして家に戻る。まだだ。もう少し持ってくれればいい。

家が見えた。もう体は限界に近い。鍵を開け、家に入ろうとした。
ふらりと体が傾いて、かろうじて受け身を取りつつ倒れた。もう駄目みたいだ。もう死ぬのかな……?

そこで意識が無くなった。



「おーい、A。何で勝手に帰ったり―――――え?」

オルバは玄関で倒れているAを見て固まった。
倒れている?何故?だから帰ろうと?いや待て。あれは、息をしているか?

「A!!」

近付くと分かる。してないと錯覚してしまうくらい呼吸が浅い。顔も青白い気がする。
これが、Aが言っていた病気なのか?

「誰か!誰かいないのか!?Aを助けてくれ!俺じゃ助けられないんだ!」

叫んだところで誰も注目してくれない。オルバはAに触れられない。オルバのことはAにしか見えないし、声も聞こえないから。

「……え…?」

困惑した声が聞こえた。見るとそこには男性がいて、玄関を見ている。Aが倒れたときにドアに挟まれた足を見て、何か察したらしい。

「だ、大丈夫ですか!?」

彼は見たことがある。Aのお隣さんだ。良かった。彼は善良な人間だ。Aを助けてくれる。

お隣さんは救急に連絡してくれたらしい。程なくして救急車が来て、ちょっとした騒ぎになった。

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ルティン - はい!応援しています!また読みに来ますね! (2021年8月3日 18時) (レス) id: bdebe086bb (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ルティンさん» 嬉しい限りです!!この作品をこんなに好きになって下さりありがとうございます!これからもっと精進致しますのでよろしくお願いします! (2021年8月3日 16時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ルティン - この作品ほんとすごい!もう3回も読み返しています…!しかも期間を空けて!何度も読みたくなる、素晴らしい作品をありがとうございます!!これからも頑張ってくださいね!! (2021年8月3日 15時) (レス) id: bdebe086bb (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ゆきさん» うわぁぁ嬉しいお言葉ありがとうございます!!泣かせたかったので泣かせられたなら満足です(笑)最後までお読みくださりありがとうございました! (2020年7月11日 9時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 一言いいですか?...神作者じゃないですか!?貴方様の小説最高すぎるんですよ?!思わず泣いちゃったじゃないですか!...以上、長文失礼致しました。 (2020年7月11日 9時) (レス) id: 1ca0293e4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年12月7日 8時

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