やりにくいわ ページ6
YOU side
対応に行こうとする目黒君を引き留める
A｢これは私の仕事。そこで待ってて｣
後ろに下がらせ、自分が対応できるように1歩と踏み出した。
A｢…ふぅ。｣
小さく息を吐く。内心、ドキドキしてる。だって、今来てるお客さんは背が高くて、筋肉質。ちょっと目つきが悪いんだもん。怖いじゃん。
渡｢…｣
目｢…｣
ぶっちゃけ、誰もいないところで対応したいわけ。
目黒君の視線もめっちゃ気になるし。店長もしっかりと聞き耳を立ててんじゃん？
遠巻きから店長の様子を伺う佐久間さんに空気を読んで少し離れるラウール君。
A｢…やりにくいわ｣
誰にも聞こえないようにボソッと呟いた
サブレジ前に到着した彼の目を合わせる
A「岩本 照さんでお間違いないでしょうか？」
岩「そうです。」
ちょっと無愛想かも。そりゃ自分の時計潰されたんだもんね。
A｢今から担当させていただきます。桐生(きりゅう) Aと申します。この度は、ご迷惑をおかけして、誠に申し訳ございません。」
岩「あ。いえ、全然。なんかすみません。面倒ごと増やしちゃって」
来店直後より笑顔で目がなくなるほどクシャっと笑う。見惚れそうになる。
A「今回、電池交換で本来、触れることがない部品に工具が当たり、コイルが痛んだことが原因かと思われます。」
実際に時計を開けた状態で、原因と破損部位をしっかりと伝える。指し棒を使い出来るだけ丁寧に。
岩「あーはいはい。なるほど。すごいわかりやすいですね」
うんうんと相槌を打ちながらしっかりと答えてくれる
A「こちらの完全なるミスです。費用はこちらで負担し、早急に修理にだすのですが、どうしてもお日にちが・・・」
岩｢全然大丈夫ですよ。」
修理の受付を行い、深く頭を下げる。これが私と岩本さんの最初の出会いだった。
A｢そんなに怖くないじゃん。すごい良い人だったし。｣
ひとまず、何事もなく、次の工程に移行できることに安堵した。
佐｢きぃちゃん、お疲れ！｣
渡｢お疲れ。良い人だったじゃん。｣
A｢いや、ホントに｣
苦笑いする
渡｢…説明も良かった｣
耳を真っ赤にして、褒めてくれて、フロアに行った店長
佐｢なにあれ！照れて逃げてんじゃん！良かったね、きいちゃん！｣
笑いながら店長を佐久間さんが追いかける
A｢めっちゃ珍しい…明日、雨？｣
目｢それはひどいよ、Aさんw｣
いや、笑ってんじゃん！
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作者名：uzuuzu | 作成日時：2021年3月1日 1時
