コソコソ第参拾壱話 ページ31
君が欲しい。
A
俺がずっと欲しくてたまらなかったA。
ずっとずっとずっと我慢して、できる限り触れる事も我慢して、
君を汚す感情を抑えてきた。
だけどそんな事はもう必要ないような気がする。
彼女も笑顔で構わないと言ってくれたのだから。
全て彼女は受け入れてくれる。
彼女を愛して、愛して、
完全に俺のものになった。
なのに、
ごめんなさい?
まだ気持ちを確かめ合って二日目というのに。
父上に抱き上げられて、もう俺には気持ちがない?
そんな事はないはず。Aも俺と同じぐらい愛してくれる。
「A、君が欲しい」
そう言って彼女に口付けると、首にAの手が触れる。
暗闇の中で月明かりに照らされた彼女は困ったように眉を下げて、頷いた。
ブワッと愛おしさが胸の中に広がり、抱き締めてまた何度も唇を重ねる。
彼女の帯に手をかけようとすれば急いで止められる。
「はぁっ、ちょっと、待っていただけませんか?杏寿郎さん」
「待てない」
解こうとすれば手を重ねられる。
「十分…いや、十五分……待っていただけませんか?」
「……俺に触れられるのが嫌か」
「杏寿郎さん、お願いします」
「……五分だけだ」
小さく呟くと、Aははいっ、と返事をして、ランプをつけ、何やら着物を退かして紙を取り出して、机において書き始めた。
「なんだ?それは」
「ちょっと重要な書類で」
必死そうに書いているA。
謎の言葉が連なり、内容を読もうにも難しくてよく分からない。
書類に向けられている彼女の瞳が、自分に向けばいいのに。
そんなことを考えて、紙にまで嫉妬をしてしまう。
そっと彼女の背後に座り、彼女の腹辺りに後ろから腕を回して抱きついた。
「きょ、杏寿郎さん!?」
「あと二分、それ以上は待てない」
Aはえぇ!?と言いながらも、必死に手を動かしていた。
目をつぶりながら、Aの背中に頬を寄せ、ゆっくりとAの帯を解いていく。
あと一分。
あと少し、
彼女の帯を解き、端に置いた。
「まっ、杏寿郎さん、ちょ、あと、少しだけ…!!」
「時間切れだ」
彼女の持っているものを机において、勢いよく、布団に押し付ける。
「杏寿郎さ…」
「君が欲しい」
ランプをつけたまま、言うと彼女は顔を真っ赤にした。
その夜も彼女を沢山愛した。
彼女が失神するまで何度も何度も愛した。
たまらなく愛おしかった。
もう離すことは出来ないだろう。
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古猫丸(プロフ) - yersk0402さん» これはこれはyersk0402様!!いつも胸きゅんコメントありがとうございます〜!!本当に嬉しくて、私もコメントを見た瞬間きゅんきゅんしっぱなしです!(/ω\)いつもコメントありがとうございます!!m(_ _)m (2020年12月1日 0時) (レス) id: a0dec71c2f (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - みゆさん» みゆ様ァァ!!ありがとうございます〜!!。゚(゚´Д`゚)゚。嬉し過ぎてなんと言葉に表せばいいのでしょうか!!とても嬉しくて励みになりっぱなしです!!コメントありがとうございました!!m(_ _)m (2020年11月30日 23時) (レス) id: a0dec71c2f (このIDを非表示/違反報告)
yersk0402(プロフ) - 煉獄さんにもっともっと愛されたーいです!ずっときゅんきゅん、しっ放し!あたしも心臓ばくばくです! (2020年11月30日 22時) (レス) id: 04e5911f66 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - またまた来ましたヾ(*´∀`*)ノ お話が大好きで更新されるのを待ってました(*´ω`*) 今後がますます気になり過ぎて更新されるのを楽しみに待ちたいと思います(つ´∀`)つ (2020年11月30日 22時) (レス) id: ad229492c1 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - みゆさん» わぁぁぁ!!ありがとうございます!。゚(゚´Д`゚)゚。そう言っていただけると、やる気が出ます〜!!これからもよろしくお願いいたしますっ!!m(_ _)mコメントありがとうございますした! (2020年11月26日 3時) (レス) id: dd08b68fc6 (このIDを非表示/違反報告)
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