コソコソ第弐拾伍話 ページ25
【そ、そうですか!そうですよね…煉獄さん、結婚なんて考えてませんよね……】
Aは泣いていた。
という事はやはり、本当に俺を想っていてくれた。
嬉しかった。
だけど結ばれるわけにはどうしてもいかなかった。
「A…」
あの夜からAは居なくなった。
どこを捜してもいなかった。
仲の良い甘露寺や胡蝶の屋敷にいるかもしれないと向かったが居なかった。
彼女が消えてから三ヶ月が経った。
目撃情報はどこにも無し。
もっと沢山捜したいが、任務もある。非番の日を全てAの捜索に時間をかけて、睡眠時間をニ時間減らして朝早くAを捜すようにした。
だが、
Aはどこにも居ない。
「A」
誰かが言った。
【彼女は鬼に喰われた】
のだと。
喰われたなら、確かにどこにも目撃情報は出ないはずだ。
そんな事を認めたくはなかった。
最近、父上と千寿郎はいつも俺を悲しそうな目で見ている。
「煉獄さん、最近休んでいませんよね…?」
胡蝶が眉を下げて言う。
「休むわけにはいかない!!Aを見つけ出すまでは!!」
「煉獄さん!!もうAさんは鬼に食べられてしまった可能性が高いようです。鉄道を使った形跡もありませんでしたし、何より彼女、身一つだったんですよね?さすがに無理があります」
「……食べられてなんかいるはずがないだろう!!冗談はよしてくれ!!」
蝶屋敷を抜け出すと、宇髄が立っていた。
「Aはな、お前がずっと好きだったんだよ」
「…」
「必死にお前の好きな食べ物作れるように練習してたぜ?」
宇髄は俺を見て小さく笑った。
「愛されてたのに、自らそれを突き放して、でも、いざいなくなったら体調が壊れるまで捜し続ける。地味だぜそんなの」
「何が言いたい」
「Aを捜すのはやめろ。アイツはどこかで楽しく誰かと暮らしてるさ」
宇髄は唇を噛んで、拳を固めていた。
それを見て、先程の言葉と逆である事を物語っていた。
***
任務を終わらせて、深夜に家に帰り、Aの部屋だった所に戻る。
「Aっ___」
彼女の花柄のワンピースを抱き締めた。
彼女はもう居ない。言われるのが辛かった。
【おかえりなさい、杏寿郎さん】
言ってくれる彼女はもう居ない。
【杏寿郎さん!弁当!忘れていますよ!】
作ってくれる彼女ももう居ない。
「A___!!」
あの時、君と恋仲になっていたら君は今も俺の隣にいたのだろうか__?
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古猫丸(プロフ) - yersk0402さん» これはこれはyersk0402様!!いつも胸きゅんコメントありがとうございます〜!!本当に嬉しくて、私もコメントを見た瞬間きゅんきゅんしっぱなしです!(/ω\)いつもコメントありがとうございます!!m(_ _)m (2020年12月1日 0時) (レス) id: a0dec71c2f (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - みゆさん» みゆ様ァァ!!ありがとうございます〜!!。゚(゚´Д`゚)゚。嬉し過ぎてなんと言葉に表せばいいのでしょうか!!とても嬉しくて励みになりっぱなしです!!コメントありがとうございました!!m(_ _)m (2020年11月30日 23時) (レス) id: a0dec71c2f (このIDを非表示/違反報告)
yersk0402(プロフ) - 煉獄さんにもっともっと愛されたーいです!ずっときゅんきゅん、しっ放し!あたしも心臓ばくばくです! (2020年11月30日 22時) (レス) id: 04e5911f66 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - またまた来ましたヾ(*´∀`*)ノ お話が大好きで更新されるのを待ってました(*´ω`*) 今後がますます気になり過ぎて更新されるのを楽しみに待ちたいと思います(つ´∀`)つ (2020年11月30日 22時) (レス) id: ad229492c1 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - みゆさん» わぁぁぁ!!ありがとうございます!。゚(゚´Д`゚)゚。そう言っていただけると、やる気が出ます〜!!これからもよろしくお願いいたしますっ!!m(_ _)mコメントありがとうございますした! (2020年11月26日 3時) (レス) id: dd08b68fc6 (このIDを非表示/違反報告)
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