コソコソ第拾漆話 ページ17
朝、いつも通り鍛錬をしていれば、縁側にAが現れた。
眠そうに現れたAの無防備な姿が視界いっぱいに入る。
Aしか目に入らない。
少し着崩れた寝間着、少し色っぽい顔。
誰にも見せたくない。
閉じ込めてしまいたい。
肌を噛んでみたい。
どうしようもない感情がドロドロと湧き上がってくる。
「…杏寿郎さん?」
彼女の声で目が覚める。
ダメだ。いけない。彼女にこんな感情を抱くのは。
無防備な彼女を見てこんな感情を抱いているなんてバレるのが恐ろしい。
幻滅されてしまう。
嫌われてしまうかもしれない。
でも、彼女が欲しい。喉から手が出るほどに。
彼女をこの場に押し倒して、思うがままに。
ダメだ。
ダメだ。
いけない。こんな事がバレてしまえば、彼女に嫌われてしまう。傷つけてしまう。
「A、その格好では冷えてしまう!これでも羽織っているんだ」
彼女に触れないよう、そっと羽織を掛ける。
Aは羽織が温かかったのか、頬を緩め、嬉しそうにしていた。
そうだ。これが正解の振る舞いである。
しかし、俺の羽織をとってしまうことに、罪悪感を感じ始めたのか、焦りだした。
「杏寿郎さんっ」
「む?どうした?」
「私___」
言いかけた途中で、父上が現れた。
父上は、俺を見て、Aに手を出すなよ、と念を押すかのような顔つきだった。
その後朝食を、千寿郎と、Aは二人で楽しそうに作っていた。
色違いの袴を着て、仲良く笑い合っている二人を見て、胸が傷んだ。
俺は彼女に対して、どうしようもない感情ばかり抱いている。
綺麗な彼女。決して汚してはいけない。
だけど、汚したくなってしまう。
「A」
千寿郎と仲良く作っている彼女を呼んだ。
「どうされました?杏寿郎さん」
俺はやっぱり君が好きだ。
「俺の羽織は今、Aの部屋だろうか?」
「あ!そうです!すみません、すぐに返しますね!」
手を洗って、パタパタと小走りに廊下を渡るA。
俺はやはり、君が好きだ。
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古猫丸(プロフ) - yersk0402さん» これはこれはyersk0402様!!いつも胸きゅんコメントありがとうございます〜!!本当に嬉しくて、私もコメントを見た瞬間きゅんきゅんしっぱなしです!(/ω\)いつもコメントありがとうございます!!m(_ _)m (2020年12月1日 0時) (レス) id: a0dec71c2f (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - みゆさん» みゆ様ァァ!!ありがとうございます〜!!。゚(゚´Д`゚)゚。嬉し過ぎてなんと言葉に表せばいいのでしょうか!!とても嬉しくて励みになりっぱなしです!!コメントありがとうございました!!m(_ _)m (2020年11月30日 23時) (レス) id: a0dec71c2f (このIDを非表示/違反報告)
yersk0402(プロフ) - 煉獄さんにもっともっと愛されたーいです!ずっときゅんきゅん、しっ放し!あたしも心臓ばくばくです! (2020年11月30日 22時) (レス) id: 04e5911f66 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - またまた来ましたヾ(*´∀`*)ノ お話が大好きで更新されるのを待ってました(*´ω`*) 今後がますます気になり過ぎて更新されるのを楽しみに待ちたいと思います(つ´∀`)つ (2020年11月30日 22時) (レス) id: ad229492c1 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - みゆさん» わぁぁぁ!!ありがとうございます!。゚(゚´Д`゚)゚。そう言っていただけると、やる気が出ます〜!!これからもよろしくお願いいたしますっ!!m(_ _)mコメントありがとうございますした! (2020年11月26日 3時) (レス) id: dd08b68fc6 (このIDを非表示/違反報告)
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