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第5.10話 引っかかる事・不安な気持ち ページ11

その後、都和子先生の顔に赤みがさした。
まぶたがゆっくり開く。


「A……」


私が都和子先生の胸に顔をうずくめると、
都和子先生は私を抱きしめてくれた。


「都和子先生……ど……して、ここへ……」


あの時みたいに涙が出て、声にならない。


「あなたが都和子様でしたか」

「貴方がたはスネリともっけですね。
今までAを守ってくださって、ありがとう」

「さぁ、いつまでもここに居ると、船が転覆してしまうかもしれない。
少し狭いかもしれませんが、おいらの背中に乗って下さい」


もっけは私達を乗せて飛びたった。
私の目からは、いくら拭っても涙があふれてくる。

だけど、頭の片隅でどうしても引っかかる事があった。


『タイ』という名の少年……。
聞きおぼえがあるのに、思い出せない名前。

『金』の玉を祭る西の島へ戻ってきたもっけ。
石板がある森の中だ。


「さっき見た夜鳴島にも、石板があるのかな……」

「たぶん。そこへは、最後の五つ目の玉を祭る事になるだろう」

『──そう、最後の玉を……な』


いつの間にか、彼が私達のすぐそばに立っていた。
都和子先生は彼に駆け寄る。


「タイ! 会いたかった。ずっと探したわ。
でも必ず、今日ここに来ると思っていた」

「……都和子先生、彼の事を知っているのですか?」


都和子先生に冷たい視線を投げかける彼を見て、
不安な気持ちになりながら聞いた。

スネリともっけの事も、都和子先生は知っていた。

いや、お互いに知っているようだった。
都和子先生は私の手を取ると、こう言った。

第5.11話 都和子先生と姉さん→←第5.9話 そして再開


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作者名:フェイル | 作成日時:2010年12月8日 21時

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