【drrr!!】この街は、田舎出身の私に優しくない。

#10 カワイイ ページ11

「きゃー!!!イザイザ、この子誰ー!!!?」

突然、女の人に抱きつかれる。

「!!!!!?」

「かーわいい!!!!セーラー服!!!セーラー服だよゆまっち!!!」

「おお……!!!この辺はブレザーばっかっすからね!!!新鮮っす!!!」

「ねえねえ、お名前教えて!!!」

ずい、と迫ってくる女の人に困惑しつつ、答える。

「え、えと……木谷Aです……?」

「お？お？全然慣れてないんだねー!!そこがかわいい!!!きゃー!!!ねえねえ、コスプレとか興味ないのー!!!?」

「っ、わ!!!?」

思わず後退りすると、つまずいて後ろに身体が傾く。


「危ねーだろ……大丈夫か？」


両方の脇腹を支えられ、辛うじてバランスを取れたのは、さっきオリハラさんと話していた………えっと………

「ど、ドタチン…………さん……?」

「………門田京平だ。出来れば、その呼び方はやめてくれ」

呆れながら言う、門田さん。

「あ、ありがとうございました……っ……!!!!?」


「サンドイッチー!!!」


女の人が、いきなり私に飛びついてくる。

「わ……!!!!」

必然的に、門田さんが後ろから抱きつかれている体制になってしまい、私もバランスが取れなくなる。

実質、門田さんに体重を全て預けているようなものだ。

「狩沢、ヤメロ……」

「えー？ドタチン、女の子と絡めて嬉しいでしょ!!!?」

「す、スミマセン!!!重いですよね!!!ゴメンナサイ!!!」

「いや、軽いくらい…じゃないか？」

「いや、本当にスミマセン!!!すぐ退きますから……!!!ってあぁ!!か、狩沢？さん？ど、退いていただけませんか………?」

「『退いていただけませんか、お姉様』って言って!!!そしたらどいてあげる!!!」

「えっ、えっ、」

「冷たく!!!そして嘲るように!!!上から冷たく、射抜くような眼で!!!さぁ!!!」

「……か、門田さん………」

「ヤメロ!!!」

門田さんに助けを求めた所、強制的にストップしてもらった。


拝啓、お母さん。

ようやく、常識的な人に会えました。

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