【完結】7日経ったら忘れていいですか _2_【鬼滅の刃】

捌拾玖 ページ44

俺の隣で足を抱えて座るA





余命は2分





最後なのに何故か弱音を吐かないこいつに不安を覚えた






全部抱えたまま消えてくんじゃねぇかって





でもそれも一瞬で、時計の針が進んでいくのを見て


大粒の涙を流し始めるA







『…………っ消えたくない、宇髄………



離れたくない、ずっと一緒に居たいっ…





お父さんともお母さんともお兄ちゃんともっ、



柱のみんなとも……子供達とも…………お前とも………




ずっとずっと、一緒に居たい……………っ




お前らの隣に居るのはいつでも私がいい……………っ



なぁ…………っ、う、ずいっ……………………助けてよぉっ…………………』






なんで俺は魔法使いになってこいつの呪いを消してあげられないんだろうか



助けてと訴えるこいつの願いを叶えられないんだろうか






｢A、ド派手に好きだ


俺もお前の記憶から消えたくねぇよ…………




離したくなんてねぇよ……………お前の辛い顔も見たくねぇよっ……｣







何も出来ないから、こいつに何も言わせないように口を塞いだ




俺の耳には水音と上がった息の音だけが響く







『……………っずるいよ、


もっと離れたくなくなったじゃん……………っ





こんなことなら最初からお前を嫌えば良かった……………


でも……………



お前を、嫌いになるなんて…………何回目の私でも不可能だよっ………………』




｢俺も、お前を嫌いになんて絶対なれねぇよ…w｣




2人同時に時計を見て、顔を合わせて笑う




『…………………あーあ、本当に2分で物凄く泣かされた




宇髄、





…………………さよならしよっか』






その言葉に目頭が熱くなる






何百回目のさよなら


何百回目の7日






お前は何回俺を忘れれば気が済むんだよ……





痛ぇよ、物凄く胸が痛ぇ………………………





｢…………おう、｣






泣くな、堪えろ





『…………次の私をよろしくね




…………宇髄、大好きだよ』






涙を流して目を瞑るAと同時に廊下の振り子時計が鳴り響く







次に目を開けたAの目からは涙なんて1粒も流れてこなかった





Aの視界に入らないように天井裏からAの様子を見る







『……………………！？



え？ここどこ…………？






というか、何………この格好



私身長伸びた……………？………いや、そんなことよりここどこだよ』



独り言激しいとハゲるぞ、A

玖拾→←捌拾捌

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す