【完結】7日経ったら忘れていいですか _2_【鬼滅の刃】

陸拾捌 ページ23

『…………っ、ぁう………』









｢まだ泣くのか……………






いい加減にしろ………こっちも疲れてくる……………………｣






愈史郎に言われたので必死に涙を堪えようと顔を顰める






｢………………………凄い顔になってるぞお前｣






『………っ、うるさぁい…』







口を開くとポロポロと流れる涙






｢泣くな、目を瞑れ｣







私の目を無理矢理閉じて片手でずっと私の目をおさえる愈史郎







すると少し経ってから額に柔らかくて少し湿った物が当たる








目をバッと見開くと指の隙間から愈史郎の顔が見えた








暗闇の中でもわかるくらい顔が赤くて、いつにも増してしかめっ面だ








｢まじない…………これで泣き止んだだろ？｣






めちゃくちゃ安心した




のに、この事も忘れたくなくてまた涙が出そうになる









『忘れたくないよ、愈史郎』







｢もうあんな思いは俺も御免だ。…忘れられないもんなら忘れないでみろ、A




俺はAと会った時からひとつも忘れていないのにな




今のお前の事も忘れる気はない｣







『………………………ほ、んと？





私の事、忘れない…？』






｢あぁ、忘れない



だからさっさと寝ろ｣






少し棘を帯びた言葉




男の子にしては小さい体でも、私の寂しさを紛らわすには十分すぎるくらい心地よかった






私を包む愈史郎の背中に手を回して、顔を埋めて目を瞑る








『ありがとう…………愈史郎、うん




私も忘れないように、頑張る…………っ』








バサバサと羽音を立てて頼が私の隣に止まる








心配してきてくれたのかな…………







私はこんな優しい皆に囲まれて…………幸せ者だ







私の場所はちゃんとあるんだ








いつでも帰ってきていい場所…………いつでも一緒に居てくれる人







1人じゃないんだ……………………









『………また、ここに来てもいい？』








｢茶くらいは出してやる｣








『ありがとう愈史郎……………私愈史郎と一緒に居るの好きだよ』









｢………………そうだな、俺も



Aと居ると寒くなくなる｣








『愈史郎は暖かいよ……………こんなにも心地いいもん』








｢…………っ、もう口を開くな寝ろ｣









頬を抓られて私は渋々もう一度目を瞑り








愈史郎の背中に回す腕の力を強め、顔を愈史郎の胸に埋める








…………あぁ、もうちっとも寂しくない

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