世界一綺麗な音【宇髄天元】

41音目 ページ45

童磨は優しかった




勿論鬼であるから、信者の女の人を喰ったりしていた


私も食われるんじゃないかって思ったりもしたけど




童磨は私に尽くすばかりで何もしてこなかった





「ねーねー、A



身を委ねてきた女の人の事をシながら喰うのって楽しくなぁい？」



『普通に最低だと思う



でも大丈夫、気に病むことはないよ？



元気になったら私が殺して地獄に落としてあげるから』




「天国も地獄もないのに」




『教祖が言うのね、そんなこと』




「そして筋トレする意味もないよねぇ……



ゴリラになっちゃうよ？」



至近距離に居る童磨



こんな近いのに絶対に殺せないってわかってる






「A様ー、


あら、教祖様もいらっしゃったのですね


A様、お食事ですよ


筋トレは1度お辞めになった方がよろしいかと」




「ゴリラになっちゃうよね？」




「………………………………体も傷ついていますし


骨だって折れてたんですからね？


１ヶ月経った今でも気を抜いたらダメですよ！！


お食事が終わったらお風呂に行きましょう？広間に居ますので終わったら声をかけてくださいね」





『……ありがとう』




私が笑顔を向けるとパァっと明るくなって頭を撫でてくれる女の子




『ねぇ童磨、アンタは良い奴なの？』



「さぁね、でも女の子は食べるよ？


だってお腹空くし」




『へぇ……じゃあなんで私の事食べないの？


いつだって食べれるでしょう？


それに私は鬼殺隊


情報を漏らしたりだってするかもしれない』





童磨に近づいて目を合わせる


おろおろとし始める童磨


こんなやつでも今の私じゃ……殺せない





「…………言わないってわかってるからかな？


だってAが俺を殺そうとしないのも殺せないってわかってるからだよね？


それとほぼ同じことだよ


ていうか近いよ」




『………………鬼に恥じらいってあるのね』




「だって俺だって男だよ？」




『………………ほう』




私は童磨から離れ運んできてくれた食事を口に運ぶ



パクっ


「んー、これ本当に美味しいの？」






『勝手に食べないでよ…………美味しいよ


とっても美味しい』




「泣くほど？」



『……？』





「気づいて無いかもしれないけど、Aってご飯食べる時いつも泣いてるんだよ



そんなに美味しい物なのかねぇ……？」




目に触れると本当に泣いてた


それに気づくと鼻水も出てきた





人の体って不思議だ…

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