世界一綺麗な音【宇髄天元】

29音目 ページ33

『嫌っ……………………！！


嫌……触らないでっ……！！私は塵なんかじゃないっ！！！



お前にあの人の何がわかるっ……


あの人の優しさもっ……暖かさもっ……お前は知らないっ！！！！





塵はお前だ！！屑！！！！！




っがは……』








お腹を思い切り蹴られ、体が宙に浮く



体に伝わる衝撃と共に髪を思い切り引っ張られる





「……………………なんだこれ……


お前がやってるのか？」




私の周りが凍って行くのに気づき、


ニヤッと笑う



「へぇ…………………………新しいご主人様は凍って死にでもしたのかぁ……？



可哀想だなぁ……こんなクソ女に凍らされて死ぬなんてよ




でも安心しろぉ……俺はお前を受け入れてやるからよ……


犯○れながら死ね、塵」





ビリッ




ナイフを服にかけ、少しの皮膚と一緒に裂く




「おー、傷ついちゃったけどやっぱいい身体してんなぁ……」




舐め回すように見るこいつに寒気がする


私の手に触れているせいで凍ってきているのに


なんで手を離さないの






気持ち悪い……っ





「久しぶりだなぁ…………、この体」




冷たい地面に押し付けられ、


首を締められながら体を触ってくる





苦しい


冷たい


寒い





男が左手でナイフを握ると私を目掛けて落ちてくる









あぁ……









今日は月…………









雲に隠れてるんだなぁ









綺麗な満月……見たかったなぁ……………………っ






宇髄さんにもう1回…………抱きしめて欲しかったなぁ






伊之助との約束……守れなかったなぁ……………………







目を瞑り覚悟を決める









全部私のせいだから





仕方ないから





汚い私は






汚い男に殺される運命なんだ……………………









全部……私がこの世に生まれたから起こった




悲劇なんだ









……………………覚悟を決めたのに




いくら待っても




ナイフが刺さることは無かった









………………どう……して？





目を開けると


隠れていた筈の月が辺りを照らしていた








あいつの首を締め上げているのは





派手な私の大好きな人






傷つけたくなかった人







壊したくなかった人








守りたかった……人









「地味に諦めてんじゃねぇよ…………A」







『宇髄さん…………っ』




「俺らも忘れんな！！」



『善逸っ……伊之助…炭治郎…っ』




暖かい音っ……

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