世界一綺麗な音【宇髄天元】

27音目 ページ31

『んじゃあおやすみ皆』



皆を部屋に案内して、一通り禰豆子と遊んだ後



禰豆子は私の膝の上で疲れて寝てしまった



炭治郎が寝る予定の布団に入れて



私は部屋を出ようと立ち上がる



「どこ行くんだ！」

『わっ』




伊之助に引っ張られて布団に倒れる




「あんなぁ…………Aちゃんは宇髄さんのとこ行くの

こんなむさ苦しい所に1人で置いてくれる訳ないよ？？あの人」



「んじゃあ俺らが詰めりゃいい話だろ


馬鹿なのか？」



「むさ苦しいってそういう事じゃないぞ、伊之助……」





伊之助にぎゅっと腕を抱きしめられる



なにこの子……私に懐いたの？






「ピカピカのドングリやるから……な？」


『う"っ……』





そんな可愛い顔で見つめられたら……


どうしよう……どうしよう……






「な？じゃない！Aは宇髄さんの所に……」


「炭治郎っ、Aちゃんの手をそんな掴むな！！！」


「そこじゃないだろ……善逸……」


「うるせー！Aちゃんは俺のなの！」


「てめーらなんの話してんだ！

俺と寝るんだよ！」


「……むぅ！俺と寝たいだろ？な？A」






いつの間にか取り合いに………………






腕や足……体ををギャーギャー騒ぎながら引っ張られる


暴れるもんだから当然服は乱れてくもんで……


そして直すことも出来ないまま引っ張られるんです


そして当たってんです……

誰も気付いてないけど私の触ってんです皆


『…………っ』



あの頃に無理やりされてんのを思い出して泣きそうになる


ただの取り合いなのに


乱れた服と、動けない体で

あの時の記憶がフラッシュバックして

涙が滲んでくる





ガラッ



「…………何やってんだ」




戸の方に目を向けると宇髄さんがムスッとした顔をして立っていた



3人が気付いたのか私を見て驚く



「………………」


オロオロし始める3人



「ドングリいっぱい持ってきてやるから……な？

泣くんじゃねぇよ…………」


「Aっ、ごめんな……」

「ごめんねえええっ……Aちゃんっ」



泣くのを我慢するのが精一杯で口が開かない




グイッ

ギュッ




手を引かれて宇髄さんの腕の中に入る



「立てるか？」


『………………うん』



宇髄さんが腕を離すと無意識にポロポロと涙が零れる


宇髄さんはしゃがんで私の涙を拭きながら服を直してくれた





『……大丈夫だよ、おやすみ』




しゅんと3人を背中に宇髄さんの後ろをついて歩いた

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