世界一綺麗な音【宇髄天元】

2音目 ページ3

その後、私は遊郭で沢山大人の遊びをした

沢山教えて貰った

沢山練習した

沢山汚された

沢山蹴られて殴られて刺された




でも、こうしないとお金が貰えない



お金が無いと良い子になれない



お金も身体の傷もどんどん増えて行った


罵倒されて

傷つけられて

無理やりされて



心がバキバキと音を立てて崩れ始める




「ここの女将さん……お前が殺したんだろ？

お前の唯一の味方だったのになぁ……、可哀想な女将さん」





否定したって……信じてなんかくれない……
だから私は目を瞑って体を相手に委ねる




「……無視？頭にきた

俺の事無視するとかどんだけよ！！！殺されてぇの……？」

『……っ』



首を思いっきり締められる

苦しい……




「大体、金出して遊んでやってんのに何様だぁ？

俺がお前を養ってんのと同じだぞ……？

他の男にホイホイ手つけられやがって……！！


……………………そうか

本当に殺したら俺だけの物になるよなぁ……？」




男の音が変わった

怖い音……とても怖い音

『………………っ』

男はナイフを取り出して私の太腿に密着させた



ジンジンとする足


「お前は血までも汚ぇなぁ……

俺の実験台になってくれるよな……？

人って１回殺してみたかったんだよなぁ…………！」


ザクッ

『ぅあっ____』

足から離れたナイフが肩に突き刺さる



「俺の物でここ突き刺した時よりも良い声出すじゃねぇかっ……！！」



死んだら……………………楽になれるかな……

死んだら、神様が迎えに来てくれるかな

死んだらまた……おばさんと一緒になれるかな……






死んでも……………………いいかな……






何度も体に突き刺さるナイフ

吹き出す赤い血

段々とぼやけて白くなっていく視界

遠くに行きそうになる意識




これを手放せば
全部終わる

終わって楽になれる






終わりにしよう_______________









そう……思ってたのに

「おいっ……っ！！！！

何逃げてんだっ！！」

沢山血を流しながら私は男から逃げた

必死に走った



窓から見えた丸い月があまりにも綺麗に光るから

星たちが輝くから

まだその光を見ていたいって




まだ、死にたくないって

思ってしまったんだ



裸足で、床に落ちてた羽織だけを羽織って私は外を走った



外では沢山の人が私を見た


羽織しか持っていない私の体を見た


でもそんなのどうでもよかった

私は前を向いて走り続けた

月が光る方にずっと_______

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