世界一綺麗な音【宇髄天元】

12音目 ページ14

それから皆にたくさんの事を教えられた



数字を持つ鬼や普通の鬼

鬼の急所や鬼を作り出す人のこと


それ以外にも


鬼殺隊の階級や柱の人達のこと

善逸のお友達の事とか




『大好きなんだね、善逸』


「禰豆子ちゃんの事？そりゃぁねぇ……！！だってあーんな可愛いんだよぉぉおおお！？」


『それもそうだけど……炭治郎さんとか伊之助さんとかの話をしてる時にね

善逸の音がとても楽しそうなの

私この音好きだなぁ……』






遊郭のお客さんにも居たなぁ……

1人だけ、私に優しくて

私に手を出さないで、ただ治療をしてくれて

色んな話をしてくれた

その人の音も大好きだったな……




「…………Aちゃんは耳が良いんだね、

俺も耳が良くてね、聞こえるよ



Aちゃんは何に怯えてるの？

助けてって叫んでる音がする、何から逃げているの？」


逃げて………………？

私は……何かに、怯えてる？




『私____』







『私、……夢を見るの


怖い夢なの


毎晩違う人が私を襲いに来る


殴って蹴って煙草を押し付けられて


痛くて苦しくて……辛い夢』








『夢の終わりはいつも同じ



私がその人を殺して振り返ったら



後ろの鏡の中の私が笑って囁くの




……化け物はお前だ

お前は誰からも必要とされてない

お前は要らない

死ねばいいのに……


って






だから私はナイフを鏡に刺すの

鏡の中の私から血が吹き出して

目が覚める






そんな、不思議な怖い夢





こんな夢……もう見たくないの』





私は耳を塞いで蹲る



誰も何も言わない



夢の中での話だ、本気にする人なんて居ないし



私が変わらないといけないってだけの話だ



「Aちゃん…」



その沈黙を破ったのは泣き虫の黄色いたんぽぽのような人



「小さな川の流れる音は聞いた事ある……？」




なんの事だろう……

なんで今……その話を……



「蝶が飛ぶ音、風の音、星が輝く音、


湖の音


小さな命の音、恋に落ちる音


勇気を出した音、




Aちゃんは……聞いたことがある？」



『無い…………、』



「全部綺麗な音なんだ


辛い時でもこの音が鳴れば元気になれる


俺と沢山の音を聞きに行こう


いっぱい冒険しよう


怖い夢を見た時は俺が助けに行ってあげる


そして沢山の綺麗な音と一緒に連れ出してあげる


こんなに綺麗なAちゃんの音が消えるなんてやだっ……





だからね？



もう怖がらなくていいんだよ…」

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