派手な柱の本命継子〔鬼滅の刃〕

51日目 ページ12

那田蜘蛛山の麓に着いた頃にはもう日が暮れる直前だった

「待ってくれ！ちょっと待ってくれないか！」

あまりにも真剣な顔で言うもんだから足を止めてしまった

「善逸……？どうしたんだ？」

『座ってるし……泣いてるし』

「怖いんだぁ！！目的地が近づいてきてとても怖いぃ！」

「何座ってんだ此奴……気持ちわりぃやつだな」

「お前に言われたくねぇ！猪頭ぁ！！

目の前のあの山からなんも感じねぇのかよぉ！」

振り向いて山を見る

「しかしこんな所で座り込んでも……」

「やっぱ、気持ちわりぃ奴」

「気持ち悪くなんてない！普通だ！

俺は普通で！お前らが異常だ！」

「！？」

炭治郎も気づいたようだ
凄く強い血と鬼の匂い……下弦か？

「えっなに？どうしたの？ねぇ」

「なんだこの匂い……！」

「炭治郎！？ねぇ、ちょっと……嫌だ！

俺を1人にしないで！！俺を1人にぃ！！」

炭治郎と伊之助が走り出したので私も走る

善逸は後ろから泣いて走ってくる

山に近づくにつれて匂いが強くなる

「！？」

「……た、助けて」

「隊服を着ている……鬼殺隊員だ

何かあったんだ！

……大丈夫か！？どうした！」

蜘蛛の糸のようなもので隊員が山へ引っ張られていく

「繋がっていた！俺にも！助けてくれぇぇぇぇ！！！」

善逸の酷く怯えた匂いが私の鼻に強く残る

「俺は行く……」

「俺が先に行く…、お前はガクガクしながら後ろを着いてきな

腹が減るぜ……」

「伊之助……」

「腕がなるだろ？」

伊之助と炭治郎は善逸を置いて行ってしまった

……善逸は初めての任務をした私と同じだ

『善逸、貴方は強いものを持っている
あなたにしかない、強いもの

私にはそれは分からないけれど、それは固く貴方の胸に刻まれている

私と一緒に頑張らない？善逸。』

「むっ、無理だぁ……

俺は強くないっ、炭治郎とか伊之助みたいに……強くないんだ」

『私も初めての任務の時は怖気ずいて泣いていたよ

でも、大丈夫だった
一度立ち上がればもうなんともなかった

守りたいものがあったから。壊したくないものがあったから。

善逸、君にもあるでしょ？
大丈夫だよ。

私がちゃんと、守るから

絶対死なせない

先に行くね』

私は木を飛び移りながら森を駆ける

操られたように隊員同士が斬り合いをしている

『どうした！？何があった！』

「花雲……様っ

た、すけて…………っ

糸が……」

『……蜘蛛の糸？』

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