一番恐いウォッチ使い。 ページ10
ウォッチ使いの中で一番恐いのは私だと言われたことがある。
『悪さをする妖怪達と戦うとさ、なんかAさんじゃなくて良かった〜って、安堵する妖怪多いんだよね』
ある時ケータ君に言われて驚いたことがある。
一人だけ大学生だからかな…?
『いや、ケータ君。正確にはAさんの…』
トウマ君が確か続きを言おうとして、ナツメちゃん達が止めていたのも思い出した。
私の…なんだろう。
もしや…顔が怖いのかな?
少し考えながら歩いていると、声を掛けられた。
その声にぶわりと体温が上がった気がした。
「A」
「っ…!?」
エンマさんは大王の座をカイラ様に譲った後も空亡の調査で忙しく会える機会が少なく、空亡の事件解決後も様々な所に飛び回り、なかなか会えなかった。
なのに、なのに、今日は二回も。
二回も会えるなんて。
エンマさんへの恋心で苦しめられている時に限って。
「A」
エンマさんはいつも優しく私の名前を呼ぶ。
その優しさを勘違いしてしまいそうになるので必死に堪える。
エンマさんはすぐ私を勘違いさせるから。
「…エンマさん」
「相撲を観終えて、ここらでスキヤキを食べようかと思っていたら、Aが居たもんだから、ついつい声掛けちまった!ところで、Aはもう夕食は済ませたか?」
「ぁ…はい」
頷きながら返事をすると、エンマさんは少し切なげに眉を下げたが、すぐに笑顔に戻った。
「そうか!じゃあこれから帰るところってことだな?」
「そう、ですね!」
何となく気まずい。
緊張してしまって上手く言葉が出せなくなる。
エンマさんを前にするといつもこうだから、きっとエンマさんに愛想つかされるのも時間の問題な気がする。
「えっと、では私はこれで…、失礼します」
私は頭を下げて、その場から逃げようとした。
「待て、A」
「え、は、はい…!」
「家まで送る」
「えっ…?そんな、悪いです…」
私が断ろうとしたが、エンマさんは引くつもりは無いらしい。
「Aはお供の妖怪もつけねぇから心配だ」
「ウォッチもありますし…」
「引かねぇぞ?」
「お…お願いします」
「おう、任せろ!」
エンマさんが二カッと笑う。
私は胸がキュッと締め付けられた。
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岸 - yuiさん» yui様、好きと言っていただけて、こちらもきゅんきゅんしております( ´ ▽ ` )これから、もっとキュンキュンさせられるように頑張りますね!コメントありがとうございます(^^) (2022年8月4日 20時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
岸 - GHJさん» GHJ様、素敵なコメントをありがとうございます!返信が途方もなく遅くなってしまい、申し訳ございません…!これから再開していきますので、よろしくお願いします(*^^*) (2022年8月4日 20時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
岸 - 花音さん» 花音様、お返事が遅くなってしまい申し訳ございません。そう言っていただけて光栄です(^^)またぼちぼち再開していきますので、よろしくお願いします! (2022年8月4日 20時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
yui - めっっっちゃ好きですこの話...凄いキュンキュンして、一人で悶えてます...... 執筆お疲れ様でした♪ (2022年1月22日 15時) (レス) @page20 id: 091807da6e (このIDを非表示/違反報告)
GHJ - 読んでいると楽しくなりすぎてもう全て読み終わっちゃいました><続き楽しみにしてます! (2021年12月5日 20時) (レス) @page20 id: 0fb369d062 (このIDを非表示/違反報告)
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