打開策。 ページ12
地面に足が着いて、私はホッと息をついた。
さすがに飛んでる時にはエンマさんに抱きついていても、とんでもない高さでの飛行とスピードの恐怖が勝り、胸のキュンキュンなどといった類は消えていた。
「A、大丈夫か?」
「…あぁ、はい。落ち着きました」
自身のアパートの玄関扉に手を添えながら、私は何とか頷いた。
エンマさんはジェットコースター大好きだから…こういうことも余裕なのでしょう。
私もジェットコースターぐらいならいいのだが…いや…長時間ジェットコースター状態はダメ、ゼッタイ。
「ちゃんと戸締り確認してから寝ろよ」
「はい。ここまで送っていただきありがとうございました」
「おう。おやすみ」
「おやすみなさい」
エンマさんはひらりと手を振って笑い、消えた。
先程までエンマさんが立っていた場所を少しの間眺め、そして、玄関の鍵を開けて、入った。
***
「へぇ〜?それで?Aは何事もなく床に就いたってわけ?」
「…うん…」
私はなぜか女郎蜘蛛の前に正座をして座っている。
過去の平釜平原へ向かい、土蜘蛛にスイーツを手土産に話をしていれば、女郎蜘蛛に捕まってしまった。
捕まってしまった、と言ってはいるが、実際捕まってよかったなと捕まった瞬間は思っていた。
正直、誰かに相談したかったのだ。
それも女郎蜘蛛は姐さんのような存在であったし尚更である。
しかし、話し始めれば、女郎蜘蛛の顔は険しくなり、今、現在はなぜか正座をして女郎蜘蛛の前に座っているというわけである。
「A、あんたガードが緩すぎなのよ。いい?簡単にエンマ様に触れさせちゃダメ!」
「だって、いつの間にか…」
「だって、じゃないわ!次からは私は女なので気安く触らないでください、って言うのよ?いい?」
「えぇ!?…いや、そんな事言えないよ…」
「もう!A!一生このままでいいわけ?何も進展しないわよ?」
一生このまま……か。
でも、もし関係が壊れてしまうぐらいなら、今の関係のままでも…。
「Aのエンマ様への想いはその程度だったのね」
「っ…」
「友人、友人と言われて、傷ついて泣きそうな顔をしているA、私は見たくないけど?」
女郎蜘蛛の言葉は私の痛いところを突いた。
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岸 - yuiさん» yui様、好きと言っていただけて、こちらもきゅんきゅんしております( ´ ▽ ` )これから、もっとキュンキュンさせられるように頑張りますね!コメントありがとうございます(^^) (2022年8月4日 20時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
岸 - GHJさん» GHJ様、素敵なコメントをありがとうございます!返信が途方もなく遅くなってしまい、申し訳ございません…!これから再開していきますので、よろしくお願いします(*^^*) (2022年8月4日 20時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
岸 - 花音さん» 花音様、お返事が遅くなってしまい申し訳ございません。そう言っていただけて光栄です(^^)またぼちぼち再開していきますので、よろしくお願いします! (2022年8月4日 20時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
yui - めっっっちゃ好きですこの話...凄いキュンキュンして、一人で悶えてます...... 執筆お疲れ様でした♪ (2022年1月22日 15時) (レス) @page20 id: 091807da6e (このIDを非表示/違反報告)
GHJ - 読んでいると楽しくなりすぎてもう全て読み終わっちゃいました><続き楽しみにしてます! (2021年12月5日 20時) (レス) @page20 id: 0fb369d062 (このIDを非表示/違反報告)
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