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褒められると嬉しい。 ページ2




褒められると嬉しい。


『さすがだな!』


そう褒められた瞬間、頬がブワッと熱くなって、恥ずかしくて目を細め、心が舞い上がって。
頭に思い浮かべるだけで、その感覚を掴むのには充分過ぎた。



「いけない、いけない」


火照る頬を垂れる汗と共に手の甲で拭いながら、大きな御神木の隣に腰を下ろす。
この御神木の隣のガシャが私の視野を広げてくれた。




「あぁ…」



このガシャと出会わなければ、この胸のときめきも、熱も生まれなかっただろう。
夏はきっと、家にこもっていただろう。



原っぱにこんな風に大胆に寝そべってなんていないで、携帯やパソコンをいじっていたに違いない。



「おや、Aじゃないか」




寝そべっていた私の顔をとある妖怪が覗き込む。




「あ、キュウビ」



モフモフの九つの尻尾を持ったキュウビが私を見下ろしている。
ゆっくり起き上がって、私はキュウビを見た。



「また未来に行っていたのかい?」


「…うん」


「それで?」


キュウビは面白そうに目を細め、私を見てくる。
キュウビにはお見通しなのだ。分かっているのに聞いてくるから嫌だ。



「教えない」


「君との仲じゃないか」


「キュウビ、絶対笑うでしょ?」


「そうだねぇ」




もう既に笑っている。これだから嫌なのだ。
でも、ものすごく嫌な訳ではなくて。

少し落ち着く。
私って変、なのだろうか。



「A」



キュウビの長い爪が私の頬に触れそうな瞬間だった。




目の前に赤い衣が横切った。
落ち着いていた熱が再熱した。





「A、また未来に行っていたのか?」


「…エンマ?」



未来のエンマさんよりも幼くて。
背も低くて。
でも、そこが堪らなく可愛くて。

自然と私を上目遣いする姿には胸が締め付けられる。






「エンマはまた閻魔離宮から抜け出して来たの?」


「あぁ!…ぬらりには秘密だぞ?」


目を細めて、可愛らしく笑う姿に自然と私も笑みが浮かぶ。




「うん、分かった。秘密だね」



満足そうに頷くエンマに胸がまた締め付けられた。
その様子をキュウビは面白そうに目を細め、小さく笑った。





私がエンマにベタ惚れな事はキュウビはよく知っている。


エンマは鈍感だからきっと気づいていない。

鈍感。→←君が好き。



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- yuiさん» yui様、好きと言っていただけて、こちらもきゅんきゅんしております( ´ ▽ ` )これから、もっとキュンキュンさせられるように頑張りますね!コメントありがとうございます(^^) (2022年8月4日 20時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
- GHJさん» GHJ様、素敵なコメントをありがとうございます!返信が途方もなく遅くなってしまい、申し訳ございません…!これから再開していきますので、よろしくお願いします(*^^*) (2022年8月4日 20時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
- 花音さん» 花音様、お返事が遅くなってしまい申し訳ございません。そう言っていただけて光栄です(^^)またぼちぼち再開していきますので、よろしくお願いします! (2022年8月4日 20時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
yui - めっっっちゃ好きですこの話...凄いキュンキュンして、一人で悶えてます...... 執筆お疲れ様でした♪ (2022年1月22日 15時) (レス) @page20 id: 091807da6e (このIDを非表示/違反報告)
GHJ - 読んでいると楽しくなりすぎてもう全て読み終わっちゃいました><続き楽しみにしてます! (2021年12月5日 20時) (レス) @page20 id: 0fb369d062 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年7月18日 1時

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