3カメ【七半はしる】 ページ3
この街での一通りを店長に教えられた後、少女の身柄はたまたま居合わせたヘラシギに預けられた。柔和な笑顔で説明や質問を重ねるヘラシギに、案内の役を譲れると判断した店長はポンとヘラシギの肩を叩く。
「じゃ、任せたよ」
「あ、今度また肉の件で改めて話ししますね。……ほな、いこか」
とりあえず流れで普通車免許をとることになったAだが、ヘラシギに会ってから何故かずっとそわそわしていた。思い当たることを辿ったヘラシギは1つの答えに行き着いた。
「Aちゃん、もしかしておれのこと怖い?」
「ちが……」
「ほなちょっと待っとってくれる?」
違いますと否定するAの声は小さく、しばらくキョロキョロと周りを見ては写真を撮っていた彼女の元に走って来たのは可愛らしい牛の格好をした人。
「こんにちは、七半はしるです!免許取ろうと思ってる子は君の事であってるかな?」
「はい、そうです。その、服可愛いですね」
「ん。良かったら服買ってみる?」
「お願いします!」
この街での初めての買い物にソワソワしながらはしるの車に乗り込んだA。デパートへ向けて走り出した瞬間にサイレンの音が鳴り響く。びっくりして外に目を向けたAを見てはしるが笑った。
「びっくりするよね。この街はいつもこんな感じで息つく暇もなく犯罪が起こって、捕まって、また犯罪をしてって。そんな感じなんだ」
「そう、なんですね」
目を細めて、今までで一番安心したように微笑んだA。はしるはその笑顔に違和感を覚えた。犯罪が絶え間なく起こると聞いて安心したように笑う子供なんて、どんな育ち方をしたのだろうか。昔馴染みのとある少女と重なって見えた。
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宇治銀時(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。これからも不定期更新にはなりますが待っていていただけるとありがたいです!m(_ _)m (5月3日 12時) (レス) id: 7eec906a71 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - いやまじで最高ですありがとうございます (5月3日 12時) (レス) @page21 id: b396ddc2bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宇治銀時 | 作成日時:2024年3月21日 21時