11カメ【誘拐】 ページ12
「これはこれはお二方。お揃いでどうしました、ヤンチャしてますねェ。よかったらウチに……って、なんですかその小さいのは」
入って来たのは餡ブレラのボス、ウェスカー。おそらくはツルギを追いかけて来たのだが、興味はすぐにAの方に移ってしまった。
「ダメっス!Aちゃん、ツルギお兄ちゃんのとこおいで」
「ほーん、Aちゃんっていうんだねキミ。おじさんについてきたらお菓子あげるからね」
「典型的な不審者の誘い文句!でもAちゃんはしっかり判断できる子だよね」
「お菓子ほしい」
ぴょんっと勢い良くウェスカーの前に躍り出たA。ご丁寧に手を広げて抱き上げやすくしている。
「え、ウソ」
「まぁマクドナルドさんと会ってすぐに子供って言われただけであの人の娘になるくらいだからそうだろうなとは思ったけど」
麻林ラルの言葉を聞いてすぐにAを抱き上げたウェスカー。しっかりと抱き締めて落とさないようにしている。
「マクドナルドさんの娘なのキミ」
「亀胡A、9歳です」
「偉いねー、ちゃんと挨拶できたね。じゃないんスよ。ウェスカーさん、その子どうするんですか」
うーん、と考える素振りをして「お菓子欲しい人ー?」とAに問いかけたウェスカー。すぐにAも「はーい」と手を挙げる。
「ま、そういうことだわ」
「いやいやいやいや。ちょ、待って下さいよ」
「何や。ツルギも餡ブレラ入りたいんか」
だからー!!と、叫ぶツルギにヒラヒラと手を振って車に乗り込むウェスカー。もちろん助手席にAを乗せて、丁寧にシートベルトまでつけてあげている。
「よーし、行くか」
「ウェスカーさん、警察に通報いれるよ」
「警察ごときが私を捕まえられる訳がないじゃないですか。ラルさんだってわかってるでしょうに……ってことで、さよならー。ほら、Aもラルお兄ちゃんとツルギお兄ちゃんにばいばい出来るかな」
「ばいばい」
「出来たね、えらいね。じゃあね」
大きなエンジン音を轟かせて車を発進させたウェスカー。バックミラー越しに麻林ラルがスマホを耳に当てたのを確認してニヤリと怪しい笑みを浮かべるウェスカー。Aはしばらくウェスカーを見ていたが飽きたのか、見たこともないスピードで変わりゆくロスサントスの街並みに見入っていた。
309人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
宇治銀時(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。これからも不定期更新にはなりますが待っていていただけるとありがたいです!m(_ _)m (5月3日 12時) (レス) id: 7eec906a71 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - いやまじで最高ですありがとうございます (5月3日 12時) (レス) @page21 id: b396ddc2bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:宇治銀時 | 作成日時:2024年3月21日 21時