船長。 ページ44
「それで睨んでるつもりか?」
ニヤニヤと人の頬を摘まんで煽ってくるキッドさん。
別に睨んだつもりは無いのだが、叩かれたことに対する異議申し立ての意を込めて相手を見つめることを睨むと表するのならそうなのかもしれない。
「人が何も出来ないと思って……」
ぷすーっと頬を膨らませて怒りを露にしても一向に手を離してくれないキッドさん。こんなとこローにでも見付かったらただじゃすまな「オイ、テメェなにしてやがる」おっと……。
恐る恐る声のした方を向くとそこには明らかに怒ってるロー。半透明のドームが形成されたと認識したときには既に私の身体はローの腕の中にあった。
「コイツは返してもらうぞ、ユースタス屋」
想像の100倍は怒ってるローに何か言おうにも下手なこと言うとこっちまでなんかされそうだから何も言えない。
かといってキッドさんがバラバラにされて海に捨てられるのを黙って見てるのも心苦しいのでローの服の端を引っ張る。
「本来ならぶっ殺すとこだが今回は……って、お前はさっきから何してんだ」
「ローの服引っ張って……わぁ、結構腹筋割れてる」
思いがけず捲った服の下に隠れてた腹筋に動揺して慌てて手を離す。普段隠してる人の隠れた部分を見るのって何かいけないことしてるみたいだよね。
「そんなに見たけりゃ好きなだけ見せてやるよ、夜にでも」
「わかってないなー!見せられて見ても面白くないんだよ。思いがけず見えちゃうから良いんでしょー」
「そういうモンか?」
「そーゆーモンなのー!」
バカなやり取りをしていたらさすがに呆れられたのか先に会場に向かって歩き出したキッドさん達。そうか、何でローがいるのかと思ったらここが集合場所だった。
「ほら、さっさと行くよ。
「お前初めて船長って言ったんじゃないか?」
「そうかな?……まぁ、いいや。じゃあねキッドさん達、また会う日まで」
「だから、ユースタス屋に親しくするなとあれほど」
賑やかしくオークション会場へと入っていく二人を見て、呆れるキッド海賊団。
「なぁ、キラー。なんだったんだアレ」
「気にするなキッド、世界は広い。あんなバカップルもいても不思議ではない」
「……そうか」
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作者名:宇治銀時 | 作成日時:2021年9月20日 20時