北の海での出会い。 ページ22
「次は北か……」
確かな情報を得られぬまま、政府関連の船で密航に成功した私達2人はたどり着いた島で次の島の場所だけを聞き出せたので出港の準備をする。
「だいぶ寒くなってきたね」
「うん。前の島で服買っといてよかった」
厚手のコートに身を包み、自然の風に帆を預けて二人で寄り添うように座る。
いつ何が起こるかわからないから基本的に船内には入らない。
「あ、あれ島じゃない？」
「ほんとだ！」
急いで船を島に近付ける。
私達は安全のために海賊旗を掲げずに航海しているため、今回も無事に港に着けることが出来た。
「すみません。海賊について聞きたいのですが」
「海賊ねぇ……あ、そういやいい子達がいるよ」
「いい子達？」
町の人に紹介されて来た場所は小さな病院だった。あれ、海賊だよね？それとも医者と勘違いしてる？
スズネも困ったような顔でこちらを見つめてくる。仕方ない、とりあえず入ってみるか。と扉を開けるとソコには原作に比べるとかなり若いけれど知った顔がいた。
「トラファルガー・ロー……」
「ベポもいる！可愛い！！」
こんな広い海の中で数多いる海賊。
その中で最悪の世代、しかもよりによってこのおそらく知名度も上がっていないときのローを見付けてしまったというあまりの衝撃に私達は気を緩めてしまった。
彼は疑うような視線でこちらを見ると、お医者さんに一言二言話をして私達を連れて外に出た。もちろんベポも一緒だ。
「テメェ等は何だ？」
端から見れば10代の若者たちの集会に町の人からの視線は優しい。
しかし、本人達の視線はとても厳しく特にトラファルガー・ローに至っては周りの雪よりも冷たく鋭い。
「私達は……ある海賊を探している」
「言っちゃうの？」
「うん、後のことを考えても彼なら大丈夫だと思う」
不思議そうにこちらを見るベポと依然、鋭い視線のロー。彼らは……特にローは頭が良いから理解はできなかったとしても重要性はわかってくれるはずだ。
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作者名：宇治銀時 | 作成日時：2021年9月20日 20時
