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オヤジとムスメとムスコ。 ページ11
どうも私がオヤジに娘と呼んでもらいたい理由は、ただオヤジが好きだからってだけじゃないみたいだ。
私はこんな不確かで不要な存在である私自身を確かにそこにあると肯定してほしいんだ。
「どうした、腹へったのか？」
船室に引きこもっている間に新しい島に着いていたみたいだ。
マルコがちらちらと外を見ていたのはこれが理由だったのかもしれないな。
「オヤジ、今日の昼は自由にご飯食べに行っていいの？」
「ああ、そのつもりだ」
「オヤジは予定ある？」
「いや、そこら辺でテキトーにすまそうと思ってたとこだ」
退屈そうに街を見るオヤジ。
視線の先には既に下船した船員達の姿。
そういえば、今回の留守番はマルコとイゾウだったっけ？
オヤジはいつもならすぐ降りちゃうのに誰にも誘われなかったのかな？
「じゃあご一緒しても？」
「てめぇの奢りならな」
「えー、そこはオヤジが払ってくれるとこでしょー！別にいいけど」
先程の難しい顔から一転、爽やかな笑顔を浮かべるミコト。
オヤジとは似ても似つかないが雰囲気は完全に父娘そのものだ。
おれにはあんな顔させてやることは出来ない。
むしろその逆だ。
おれが質問をするとアイツはどんどん暗い顔になっちまう。
「はぁ……」
イゾウが隣に来て、おれの視線の先にいるオヤジとミコトを見てからからかうように言った。
「なんだ、マルコ。恋患いか？」
「そんなんじゃねぇよい」
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作者名：宇治銀時 | 作成日時：2021年9月20日 20時
