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何年も使い続けた安物の草臥れた毛布が肩に掛かるその一瞬、ウユにとってはどんなに高級な羽毛布団よりも価値がある代物に感じられた。頭を撫で髪をすく細い指が心地良い。愛おしそうに細められた双眸がウユのこころに溶け込む。
“んー…ふへへ、あったかい”
“ふふ、お粥すぐ出来るからね。釈迦くんもうすぐ着くって”
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「ウユ？」
ハッと意識が現実に引き戻される。
何度か瞬くと揺れていた風景が霧となって消散した。
「ごめん。怒ってる、よね？」
『…いえ、＿＿＿ベッドにブランケットありましたよね、持ってきます』
「え？あ、うん…」
鼻の奥がつんとするのを深呼吸で紛らわせる。
寝室へと消えるすらりと伸びた背中をLazは静かに見送った。＿＿＿名前を呼んだ瞬間、僅かに瞳が揺らいで見え、それまでLazを睥睨していた桃花眼はどこか遠くを見つめているようだった。
リビングに戻ったウユはいつも通り淡然とした態度、ベッドスロー代わりにひいていたブランケットで優しくLazの身を包む。爪先までケアの行き届いた美しい手がズレた冷却シートをそっと貼りなおし、Lazの頬を一度撫でた。
『もうすぐできますから、少しだけ待っててください』
何事もなかった素振りに、Lazはなにも言えなかった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
『できましたよ』
両手が塞がった状態なのでドアの前で声を掛けた。
腰元までしっかり布団をかけ、上半身を起こした状態のLazがそわそわと身じろぐ。出来上がるまでもう少しというところでくしゃみを連発したせいで寝室へ戻ることを余儀なくされた。
両手に持ったトレーをサイドテーブルに置き、粥が入った器と木製の匙を差し出す。Lazは一度受け取ろうと両手を構えたが、寸前でその手を布団の中へ引っ込めた。受け取らないLazを不思議に見てウユは首を傾げる。
『Lazさん？』
「熱そう」
『そうですね、火傷に気いつけて』
確かに湯気の立つ粥は熱そうだが、高台のついた椀なので持てないほどじゃない。
「ふーふーして」
『……』
「ふーふーして」
ウユは眉根をわずかによせる。
聞こえなかったわけじゃない、呆れて物が言えなかっただけだ。これが20代後半の口から出ていい言葉なのか…椀を持った姿勢でウユは茫然とした。世の女性ファンや一部の男性ファンならときめくLazの身振りもウユからすればただ面倒な我儘でしかなかった。
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牛乳野郎(プロフ) - しいさん» 神の子いいですよね！！！（ｸｿﾃﾞｶﾎﾞｲｽ）亀更新ではありますがこれからもよろしくお願いします。 (2月23日 22時) (
レス) id: 4710ad3399 (このIDを非表示/違反報告)
しい(プロフ) - 🧙️さんとの絡み大好きです……(；；)これからも更新楽しみにしています！ (2月23日 22時) (レス) @page17 id: 944061bac3 (このIDを非表示/違反報告)
牛乳野郎(プロフ) - Gr'さん» ﾋｪ~めちゃくちゃ嬉しいです！ありがとうございます！ (2月21日 10時) (レス) id: 4710ad3399 (このIDを非表示/違反報告)
Gr'(プロフ) - あまりにも最高です………… (2月20日 3時) (レス) @page23 id: 30180fca0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：牛乳野郎 | 作成日時：2023年9月27日 19時
