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米を炊いてる時間が惜しい。というか俺は米の炊き方を知らないので包装米飯を使う。中身を取り出し自分の家から持ってきた小鍋に直接ぶち込む。水の割合なんぞ計ったことなど一度もない。大体米1：水5くらいになるようミネラルウォーターを調整し、白だしと顆粒昆布で調味。強火で加熱し沸騰したら鍋底からすくうように混ぜ、あとは弱火で15分程煮込む。その間に卵2つを前もって溶きほぐしておく。消化にいいよう少し柔らかめに作ろう。たしか本格的なお粥はたっぷりの水と生米から作るらしい。それなら俺が作るのは雑炊が正しいんじゃないか？とネットの海に疑問をぶつけたところ、雑炊は炊いた米を一度洗い、煮込む時間も異なると記載されていた。……、炊いた米を洗うってなんや…？料理素人のウユの思考が宇宙猫状態に陥りかけたその時、背後で物音が。気配を感じる。
後ろを振り返ると、そこには黒いソファに体育座りでウユの動作を眺めるLaz。信じられない光景に瞠目した。一瞬で表情を険しくしたウユはやや粗雑に冷蔵庫内から冷えピタを1枚取り出し、フィルムを剥がす。大股でソファへ近づきしっかりと目標を定め、大きく右手を振りかぶった。
『なにを、しとん、ねん！』
「っいたい！冷たい！」
現実でも安定したAIMを魅せ、Lazの額にクリーンヒットした冷えピタが斜めにずり落ちる。冷却シート越しに見るウユは普段の事務的で乏しい表情と違い、標準装備の黒いマスク越しでも分かるほど表情を歪ませている。纏う雰囲気は苛立ちを隠さず、幾つも歳上のLazを小心翼々とさせる気迫がある。美人が怒ると怖いって本当なんだ……Lazは首を竦ませ身震いした。ウユはビッ、とSEが聞こえてきそうな勢いで後ろ手に寝室を指差す。
『ベッドに、戻れ』
「で、でも」
『でもやない』
「お願い、ウユが作るの見てたいんだよ」
『冷えたらどうす、る……』
「？」
厳しい口調が尻すぼみに消えていく。
遠くで音がする。
古いアパートの年季が入った台所、自分も普段から利用する近所の安いスーパーのレジ袋、何年も嗅いだことのない米の炊ける匂い、少しずらした蓋から立ち上る白い湯気、卵に空気を含ませながらかき混ぜる菜箸と皿の底が当たる小気味良い音。この目で見た全部、聴こえる音全てを焼き付けたかった。
“ウユくんったら、ここにいたら冷えるよ”
“…ママさんが作ってんの見ときたいねん”
“もう…仕方ないなぁ。ほら、毛布だけでも”
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牛乳野郎(プロフ) - しいさん» 神の子いいですよね！！！（ｸｿﾃﾞｶﾎﾞｲｽ）亀更新ではありますがこれからもよろしくお願いします。 (2月23日 22時) (
レス) id: 4710ad3399 (このIDを非表示/違反報告)
しい(プロフ) - 🧙️さんとの絡み大好きです……(；；)これからも更新楽しみにしています！ (2月23日 22時) (レス) @page17 id: 944061bac3 (このIDを非表示/違反報告)
牛乳野郎(プロフ) - Gr'さん» ﾋｪ~めちゃくちゃ嬉しいです！ありがとうございます！ (2月21日 10時) (レス) id: 4710ad3399 (このIDを非表示/違反報告)
Gr'(プロフ) - あまりにも最高です………… (2月20日 3時) (レス) @page23 id: 30180fca0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：牛乳野郎 | 作成日時：2023年9月27日 19時
