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福良side
ﾋﾟﾁｭﾁｭ ﾋﾟﾁｭ
ｶﾞｻｶﾞｻ
ｷﾞｨｰｯ ｷﾞｰ
鳥のような声、何かが移動する音、聞いたことの無い動物の声。
ジャングルに迷い込んでしまったようだ。
見た目はただの図書館にしか見えないのに、あの背の高い本棚の奥で、何かが蠢いている。
あっちからも、こっちからも、視線を感じる。
そのとき、
本棚の影から何かが飛び出した。
「「うわぁ！！！？」」
河村と同時に叫ぶ。
すると、その悲鳴に驚いたのか、その飛び出してきた何かもビクッと途中で方向を変え、素早い動きで本棚に隠れた。
30cmくらいの小さな黒い影だ。
こちらのことが気になるのか、本棚の端からチラチラと顔が覗く。
小さな頭に、二つの耳がぴくぴくと動いている。
それは、まるで
「・・・猫？」
「・・・猫、だな。黒猫・・・。」
どうやら河村にも同じように見えていたらしい。
小さな影のような黒猫が、こちらを見てきている。
好奇心と警戒の混じった金色の目で。
この状況で言うのはあれだが、とても可愛らしい。
ばっ、と意を決したように、黒猫が再び飛び出してきた。
しゅるん、と僕と河村の間を抜け、出入口の両開きのドアに向かって一直線に駆ける。
が、
ごん。
ドアに勢いよくぶつかってひっくり返った。
河村が思わず吹き出す。
ひっくり返っても、猫は果敢に立ち上がり、ドアを引っ掻く。
しかし、ドアは意外と固いようで、かちゃかちゃと爪が軽い音を立てるだけだ。
そのコミカルな動きに、僕たちの緊張は少しほぐれる。
「外に出たいの？」
必死な様子に思わず声をかけると、にゃおーん、と情けない声がかえってきた。
会話が出来ているかのようだ。
河村がドアに近づき、ドアノブに手をかける。
「開かない。鍵がかかってる。普通こういうドアって中から鍵が開けられるんじゃないのか？」
無慈悲にも、ドアは引いても押してもがちゃがちゃと音をたてるだけで、開く様子はない。
猫もがっかりしたように、耳をぺたんとしょげさせる。
「一緒に閉じ込められたのかな・・・。」
背後から黒猫の前足の後ろのあたりを掴んで、ひょいと持ち上げる。
黒猫は驚いたようにばたばたと暴れる。
黒猫の後ろ足が僕の腕を引っ掻こうとして、すり抜けた。
「・・・え、？」
黒猫の下半身が、霧散した。
腰が綺麗な断面になっている。
僕の腕の中で、黒猫が、上半身だけで暴れた。
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はるか(プロフ) - 続き待ってます！！ (2022年1月23日 13時) (
レス) @page16 id: c4a3ef0428 (このIDを非表示/違反報告)
えい - とっても大好きです…！ (2021年8月1日 7時) (レス) id: 5a5b4a4754 (このIDを非表示/違反報告)
冥酩幸(プロフ) - 海町さん» コメントありがとうございます！空間描写は力を入れているつもりなので、そう言っていただけると非常に嬉しいです！！(喜びの舞い) (2020年12月7日 7時) (レス) id: 7edbd75eee (このIDを非表示/違反報告)
海町 - 最高です。描写がメンバーさん達のいるところがよくわかるように書かれていて、とっても素敵です。想像しやすい。 (2020年12月6日 21時) (レス) id: ede98b80e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冥銘幸 | 作成日時：2020年12月1日 23時
