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伊沢side
バサッ
紙の束が落ちるような音がした。
しかも結構な大きな音で、かなりの枚数が落ちたような。
音の源に目を向ける。
福良と河村も同時に口を止め、同時に同じ方向を見た。
須貝さんは静かになったこっちを一度驚いたように見て、それから同じ方向へ目を向けた。
顔を突き合わせて何かをしていた年少の二人の足元に書類の束が落ちている。
こうちゃんは、よく見せるあの見開いた目で、言葉を失ったまま凍りついている
山本は青ざめた顔で、尻もちをついたまま。
明らかにただ事ではない様子だ。
真っ先に須貝さんが動き出した。
「どうしたっ！？」
ぱっと手に持っていた掃除道具を素早く床へ置き、駆け寄る。さすがナイスガイ。ってそんなこと言ってる場合じゃない。
俺もワンテンポ遅れて動き出す。
「そ、それ、そのしょるい、」
こうちゃんが震える声で床に落ちている書類の束を指差す。山本は声も出ないようだ。
須貝さんは警戒しながらもその書類を拾い上げた。
特になんの変哲もないように見える紙の束。表紙が白いのだけが気になる。
パラ
白い表紙をめくるとそこは
びっしりと文字に埋め尽くされていた。
間違えてフォントサイズを3くらいに設定したんじゃないかというくらい細かな文字。段落分けもされておらず、読みづらいことこの上ない。
相対的にページ下方の普通の大きさのページ番号がやけに目につく。
「も、もじがちいさくて、よみづらいから、さいごの、ぺーじ、を」
こうちゃんの声は弱々しく、山本と一緒に福良の後ろに隠れている。
ペラペラとページをめくる。
ページ番号が10〜30ページくらい進むごとに1にリセットされている
そして最後のページ
11回数字がリセットされたあとの32ページ目が最後
「さいごの、1ぶん、が」
最後の、1文
『残念だ。』
ぽつ、と須貝さんがつぶやいた。
ひゅ、とこうちゃんが息をのむ音がした。
山本がずるずると座り込む。
「この文が、どうしたの？」
福良が優しく問いかけた。
俺たちには二人が何に怯えているのかわからない。
「ちがうん、ですよ。」
震えながらこうちゃんが言う
「そのぶんの、まえの、ぶん。」
その前の文は＿＿＿
『人類は滅亡した。』
人類は滅亡した。残念だ。
なんてあっさりとした終わり方だろう。小説だったらあまり読みたくはないな。
「なかったんですよ、」
こうちゃんの震え声
「そんな、ぶん、さいしょは、なかったんですよ、」
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はるか(プロフ) - 続き待ってます！！ (2022年1月23日 13時) (
レス) @page16 id: c4a3ef0428 (このIDを非表示/違反報告)
えい - とっても大好きです…！ (2021年8月1日 7時) (レス) id: 5a5b4a4754 (このIDを非表示/違反報告)
冥酩幸(プロフ) - 海町さん» コメントありがとうございます！空間描写は力を入れているつもりなので、そう言っていただけると非常に嬉しいです！！(喜びの舞い) (2020年12月7日 7時) (レス) id: 7edbd75eee (このIDを非表示/違反報告)
海町 - 最高です。描写がメンバーさん達のいるところがよくわかるように書かれていて、とっても素敵です。想像しやすい。 (2020年12月6日 21時) (レス) id: ede98b80e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冥銘幸 | 作成日時：2020年12月1日 23時
