時計の機能はカウントダウン ページ7
須貝side
大きめのソファ、低いテーブル。
木のドア、やけに透明な窓。
壁掛け時計。
ぱっと見た感じなんの変哲もない応接室のような部屋。
ドアには鍵がかかっていたし、時計の針は10本ぐらいあるし、テーブルは足が1つしかないのに倒れない。定期的に地響きのような音が、部屋全体に響く。部屋の角にはなぜかウサギの入ったゲージがある。
おかしい。
けれど、特にそんなことは気にしていなかった。
というか、気にする余裕がなかった。
伊沢が窓の近くに立っている。
不可解な現象の中で、仲間がいることに安堵したのはほんの一瞬。
すぐにそれは絶望感に塗り替えられた。
伊沢は何故か、冷静だ。
険しい顔で窓の外を睨んでいる。
ソファに座ったまま、俺もぼうっと窓を見ている。
窓の外で、空を少し隠していたビルが崩れ落ちる。
逆行で、影にしか見えない、ビルと同じくらいの大きさのナニカが、ぬっと立ち上がる。
人間を縦に引き延ばし、頭だけが肥大したような。
肥大した頭に、5つの目と、裂けたような口。
口ががばりと開いて、何かを叫んだ。
一拍遅れて、音が部屋を揺らす。
あぁ、定期的に聞こえてたのはこれか。
空が青い。
霞みもしていない、青い、青い空。
空ばかりが綺麗で、アンバランスさに吐き気がしそうだ。
それは、紛れもない世界終焉。
俺達は、どうやら、エンディング直前に飛ばされたらしい。
伊沢がジャッとカーテンを閉めた音で、逃避しかけた思考が戻る。
冷静な瞳が俺を見る。
「・・・とりあえず、ここから出ないことには何も始まらないですし、探索しましょう。」
・・・冷静すぎないか・・・？
しかし、確かにぼうっとしていても、現状は何も変わらない。
「・・・おぅ。」
年長者である俺が、いつまでも絶望してはいられない。
ぐっと足に力を入れ、立ち上がる。
伊沢はすでに壁の針の多い時計を取り外そうと手を伸ばしていた。
しかし、意外と高い位置にあったようで、すか、と宙を掻いた。
横から手を伸ばし、ひょい、と取ってやる。
さっきまでの冷静さが嘘のように、伊沢は驚いた目で俺を見た。
その右の瞳の中に、ちら、と何かがよぎった気がした。
気のせいか・・・？
「・・・ありがとうございます。」
「いやいや。って、うゎ、これ針何本だ？多っ！」
いち、にぃ、と俺が時計の針を数える横で、伊沢はしきりに右目を擦っていた。
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はるか(プロフ) - 続き待ってます！！ (2022年1月23日 13時) (
レス) @page16 id: c4a3ef0428 (このIDを非表示/違反報告)
えい - とっても大好きです…！ (2021年8月1日 7時) (レス) id: 5a5b4a4754 (このIDを非表示/違反報告)
冥酩幸(プロフ) - 海町さん» コメントありがとうございます！空間描写は力を入れているつもりなので、そう言っていただけると非常に嬉しいです！！(喜びの舞い) (2020年12月7日 7時) (レス) id: 7edbd75eee (このIDを非表示/違反報告)
海町 - 最高です。描写がメンバーさん達のいるところがよくわかるように書かれていて、とっても素敵です。想像しやすい。 (2020年12月6日 21時) (レス) id: ede98b80e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冥銘幸 | 作成日時：2020年12月1日 23時
