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ライブの会場に入るとそこはもうお客さんこそ居ないものの、やっぱり此処に立つと少し武者震いしてしまう。
秋大「…やっぱやめとくか?今日は。」
「………いや、ここまで来たら絶対やる。」
ステージから真っ直ぐ客席の奥を見ているから秋大くんの顔は見えないけど彼が呟いた「そっか。」という一言の声音だけで彼がどんな顔をしてるかわかってしまうのだから長年の付き合いって凄いなぁと痛感してしまう。
そこからは軽くリハをして、後は本番を待つのみになったが新曲のベースは聴いた時になんとなく覚えていたけれど粗削りとも思われたくないのでallSEASONの楽屋で少しだけ手元の確認だけしていた。
すると私の背後から、ふぅ。と煙を吐く息遣いが聞こえたので振り向くとライブの衣装に着替えてメイクもバッチリ決めた春彦さんが煙草を片手に私を見つめていた。
春彦「ほー、偉いなぁ。誰も見てん所で努力するんわ。」
「あ、春彦さん…相変わらず、煙草吸ってるとドキッとしますね。」
振り向き際にそう言うと煙を吐きながら、ふはっと大きく口を開けて笑う春彦さん。
春彦さんの実年齢を知っている私が言うのも何だが見た目が私よりも年下に見えるし、人によっては未成年に見えるのでは…という外見の為、煙草を吸っていると色々な意味でドキッとしてしまう。
春彦「秋大達にも未だ言われるわ〜。まぁ、わしが年にしては可愛すぎるのがいけんのじゃけども。」
「…間違いないです。」
春彦「素直で良い、良い。あ、そういやメイクとか衣装はどうするん?誰かに任せるんが嫌ならわしがやっちゃるが。」
「…今回も春彦さんに全部任せて良いですか…?」
と聞くと彼は「わしに任せときの!」とにんまり笑みを浮かべた。
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理奈(プロフ) - コメント失礼します。続き楽しみにしてます。 (2020年12月24日 22時) (レス) id: 51b4d0b4c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡桃釦 | 作成日時:2020年11月24日 12時