紆余曲折を経て、煙に巻く。 (ページ4)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:9,876 hit

3 ページ4

秋大｢枢！待ってた！！急で悪いんだが風邪を引いた冬也の代わりにベース弾いてくれ！一生の頼み…｣

｢何回目の一生かな…まぁ、別にいいけどセトリはなに？私の知らない曲ある…？｣

allSEASON,というバンドはVo,Gt.の白井秋大、Gt,Ky.の藤野一夏、Ba.の兼井冬也、Dr.の花咲春彦の4人で形成されており、私はそのサポートメンバー…要するにメンバーがライブに出れない時に出る補欠の様な立ち位置だ。

メンバーの秋大くんとは義兄妹で他のメンバーとも深い関わりがあるので歳は離れているもののこうやっておふざけを言い合ったりする事もできる。

これは思い被り過ぎるかもしれないが音楽を自分からやろうとしない私への救済措置だったりするのかもしれない。

一夏｢前回、僕の代わりに入ってくれた時のライブと曲目は殆ど同じかな？順番は違うけど…後は新曲やるよ！聴いてくれた？｣

｢聴いた、聴いた！カッコよかったねぇ、一夏くんのギターソロ超良かった…。｣

春彦｢ほぉ？わしのドラムソロも中々えかったじゃろ？｣

｢勿論、春彦さんのドラムソロめちゃ良かったです…華奢で可憐な見た目からは想像できない力強いドラム最高でした……｣

賞賛の言葉と拍手を2人に送ると春彦さんは満足気に私の頭をくしゃりと撫でて、一夏くんは少し照れくさそうに頬をかいた。

その様子を近くで見ていた秋大くんが｢俺のことは褒めてくれないのか…｣と呟いていたのは聞こえないふりをして春彦さんについて行き、会場へと入った。