紆余曲折を経て、煙に巻く。 (ページ15)

今日:10 hit、昨日:1 hit、合計:9,882 hit

14 ページ15

春彦｢なんじゃ、和輝とそがぁな仲になっとったんか～！｣

理｢枢さん！な、なんで和輝だけ名前呼びなんですか…！｣

｢え…和輝さんってお名前しか知らないからですよ、春彦さんも井口さんもお名前で呼ばれてるじゃないですか…｣

チラリと横目で和輝さんを確認すると彼は口元を手で覆っており、初対面の奴が馴れ馴れしく名前呼びなんてしたから怒ってるのかな…と少し考えていたが彼の方から｢確かに…｣と小さく呟いたのが聞こえた。

和輝｢…俺、KingGnuでベースやってます。新井和輝です、改めて宜しくお願い致します。｣

｢あ、えっと…菱鷺枢です。こちらこそ宜しくお願い致します…。｣

改めて畏まった挨拶をされたので思わず此方も畏まった挨拶で返すと手に持っていたジョッキを煙草に持ち替えていた春彦さんがケラケラと笑いながら｢お見合いか！｣と私達にツッコミを入れていた。

理｢あ、じゃあ…枢さんのご趣味は…｣

和輝｢え、このくだり続けるの？｣

｢趣味…ですか？えーっと…｣

和輝｢答えてくれるの？｣

和輝さんが私と井口さんのやり取りにツッコミを入れていたのを見ながらまたケラケラと笑っていた春彦さんだったがおそらく酔っているのであろう秋大くんに呼ばれており、重い腰を上げようとしていた。

春彦｢お、何か秋大が呼んでおるの～。飲み比べか？｣

｢…飲ませ過ぎないようにして下さいよ。｣

春彦｢わかっとる、わかっとる。じゃあ…理と和輝、枢のこと頼むぞ～。｣

そう言いながら春彦さんは少し離れた所に居る秋大くん達の輪の中へ入って行った。