#3 ページ3
.
連れられて来たのは、大きな一軒家だった。
わたしが住んでいたぼろぼろのアパートよりもずっと大きくて、ずっとずっと綺麗。
今日からわたしもここで暮らすんだ、なんて実感がわかなかった。
ぼうっとおうちを見つめていると、
「Aちゃん、行くよ」
優しく手を引かれる。
誘われるままに足を踏み出して、玄関の扉を開けた。
▷▶◀◁
「ただいま〜!」
玄関で靴を脱いだお兄さんたちが、元気に言う。
わたしも真似して、小さく「ただいま」って呟いてみた。
そんなわたしを驚いたように見たお兄さんたちは、「おかえり」って笑顔で迎え入れてくれた。
リビングに入ると、お兄さんたちがダイニングテーブルを囲うように座り始める。
もちろん、突然家に来ることになったわたしの席はまだ無くて。
どこに座ろう、と慌てるわたしの体がふわりと浮いて、どこかに座らされる。
一体誰が、と思って上を見上げると、桃色の髪をしたお兄さんがにやにやしてわたしを見つめていた。
どうやら、膝に乗せられたらしい。
他のお兄さんたちが目を見開いてこちらを見つめるから、なんだか恥ずかしくなって顔を覆う。
そんなわたしが面白かったのか、桃色のお兄さんが後ろで吹き出した。
しばらくの沈黙の後、紫のお兄さんがごほん、なんてわざとらしく咳払いをする。
「とりあえず、自己紹介しよう」
その一言に、お兄さんたちがおお、と小さく声を上げた。
25人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:? | 作成日時:2023年1月20日 8時