病室に咲く花に甘いキスを。【名前変換オリジナル】

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「いやぁ、それにしても青春だねぇ、少年よ」

「は、はぁ……」


クーラーガンガンの肌寒ささえ感じる部屋に、
いかにも“太陽”って感じのでっかい男と二人きり。

親御さんへの連絡はどうした、お兄さんよ。


「でさ、少年はなんていうの？」

「何がですか？」

「やだなぁ。名前だよ、名前」


分かるかっ！


「池谷 翔太」

「わー、僕と名前一緒だ。こんなこともあるんだね、すごーい」


対して感情のこもってない声をあげる。
こっちがわーだよ。

おんなじ名前なのに、こうも人ってのは違うのか…。


「じゃあ翔太君、電話番号教えてくれるかい」

「あぁ、はい」


急に真面目になったことにたじろぎながら、
言われた通り10ケタの数字をゆっくり唱える。

「めずらしい番号だね」
「遠くから来たんだ？」
「青春するために？」
と、いちいちコメントしながら番号を打ち込むものだから
イライラして仕方がない。

イケメンだけどめんどくさい人だと割り切って、
俺は完全無視を続けた。

電話がつながったのか、かしこまった口調で話し始める。


「すみませんが、お迎えに来ていただけるとこちらとしても有難いんですが……」


……。

花に会えずに帰るのか。
ちょっとそれは辛すぎる。

すぐそばに、同じ建物内に、いるのに。

どうにかしてこの部屋抜け出せねぇかな。
目の前にいるイケメンだけどめんどくさい人に
それとなぁく部屋の場所聞いてさ。
走ったら、すぐだろ。


「翔太君のお母さん、車ぶっとばして来ます。だってさ」

「それまで、どのくらい時間あるんすか」

「そうだねぇ、○○市からだったら高速で飛ばして大体３時間ちょいってところかな」


時間はある。
あとはチャンスさえあれば……。


「翔太君ってさ、花ちゃんに会いに来たんだろ」

「えっ…、」

「僕なら、会わせてあげられるよ」


チャンス、到来。

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