噂のカノジョ【Ryo.Y】

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[吉沢side]

『久々に一緒に外出たね』

「確かに」

白い息を吐きながら俺のことを見上げるAに微笑むと、彼女は嬉しそうに笑っている。といってもどこかにお出かけではなく、普通に近所のスーパーまで買い出しに来た帰りなだけだ。

事務所の方からはコメントを出してもらったし、世間でもニュースに名前が出ないくらいには落ち着いた。久しぶりに沢山買い出しをしたいという彼女に付き添った。おかげで俺の両手には重たい袋がぶら下がっている。

『良かった〜！！沢山買い物できて満足だよ』

「そうだね、俺の腕が死にそうだもん」

『だから一個は持つよっていったじゃん』

「持たせられる訳ねーだろ〜」

そんな小さな身体で、そんな小さな手でこんな重いものを持っていると考えるといてもたってもいられなくなる。そう伝えたら「バカなの？？」と辛辣な言葉を受け取った。

「相変わらずひでぇ」

『相変わらず亮くんがお馬鹿』

「失礼だな」

イヒヒと笑う彼女に俺は「全く」と言いながら俺の腕を少し握るAを見つめる。すると長い睫毛をパチクリとさせた彼女がこちらを見上げる。

『どうかした？？』

「ん？」

『ずっと私のこと見てたじゃん、前見て歩きなよ』

「なんでこんなに可愛いんだろうと思って」

『頭大丈夫？？』

「本当は手繋ぎたいなって思ってた」

『だから私がその袋一個持てばいいだけじゃん』

俺はその言葉に考えたがやはりそんなことさせられなくて「それは無理」と答えれば苦笑された。おそらくわがままだなあと思われているんだろう、彼女の方が何個も年下なのに多分精神年齢は俺の方が年下だ。

『駄々こねないでよ、家もうつくし』

「ヘーイ」

そう言いながらカバンから鍵を取り出す彼女は俺の前を歩いてエントランスを開いた。

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