噂のカノジョ【Ryo.Y】

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目の前で行われる壮絶アクションを見つめながら「おお」と感嘆の声を漏らした。私へと日傘をさしてくださっている布瀬さんも「凄いですね」と呟く。何テイクも進めるたびにどんどんと流れがスムーズになっている俳優陣を見ながら、私は楊端和役の長澤まさみさんを見つめる。

『...まじで美人だなぁ』

「A様もお父様に似てとてもお美しいですよ」

『そう言ってくれる布瀬さんが一番かっこいい』

「もしも社長が本当の父親でしたら、その顔にはなっていませんからね」

『意外と辛辣なところも好き』

俳優をしている父親は自他共に認めるイケメンではあると思うが、戸籍上の父親はそうでもない。普通にそこらへんにいそうなおじさんである、金のかけた服装やアクセサリーでどうにか保ってはいるが、本当にただのおじさんだ。母親はどちらかといえば綺麗な方ではあるとは言えるが、芸能人ほどではないだろう。

カットが掛かり全員が時計を確認している所を見ると、今日はそろそろ終わりのようだ。案の定環奈ちゃんが真っ先に河了貂の衣装を脱いでいる。

「Aちゃん、今日はもう撮影終わりだって言うけどこの後どうする？？」

そう声をかけてきてくれたのはマネージャーさんで、「亮くんがきてから決めます」と言って布瀬さんと目を合わせた。山崎さんと談笑しながらこちらに向かってきた亮くんに手を降ると、彼はこちらに駆け寄ってくる。

『この後どうする？？』

「ご飯行く？？先にホテル帰ってシャワー浴びてからになっちゃうけど」

『勿論大丈夫だよ、布瀬さんお店用意できる？？』

「勿論でございます、メインは和食か洋食か中華どれになさいますか？？」

その言葉に亮くんを見ると「最近中華ばっかりだから、洋食で！」と言うので布瀬さんはニッコリ笑顔で「かしこまりました」とうなずいた。

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