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私には、恋人がいる。
松村北斗。
北斗とは大学の時に知り合って、もう付き合って５年以上になる。
当時大学生だった私と北斗は、たまたま同じ授業で隣の席同士になりそこから話すようになった。
優しくて思いやりのある素敵な人。
彼に対して、私はそんな印象を抱いていた。
実際付き合ってからも、彼は私に愛を伝えてくれたし
スキンシップもよくとっていた。
時は流れて２人は社会人になり、大学生の時ほどお互いに時間が取れなくなった。
私は会社に勤めて、北斗は駅近くのカフェで働いていた。
お互い忙しくなりつつも、連絡はちゃんと取っていたし
話せるときは話すように努力した。
そうしていけば、忙しくてもちゃんと関係が続いていけると、
――そう思っていた。
北斗の浮気が発覚したのは、つい一週間前のことだった。
前よりも私に対して態度が冷たくなり、スマホをいじって誰かと電話することが増えた。
少し不安に思っていた矢先、私と北斗の共通の知人である樹くんが緊急でとある写真を送ってきた。
樹『ごめん、いきなり。ちょっとこれ見て。』
それは、北斗と知らない女の人が知らない家に入っていく写真だった。
その日は確か、友達の家に泊まりに行くと私に言っていた。
でもその写真の様子から見て、友達の関係ではないことは明確だった。
樹くんは、たまたま近くを歩いていてその現場を目撃したという。
北斗は私じゃない女の子に手を回していた。
女の子は嬉しそうに北斗に笑いかけている。
その写真を見た時の衝撃はすさまじいものだった。
スマホを握りしめ、その場に崩れ落ちた。
勿論、その時は私は涙が止まらなかった。
でも、ただ泣いてるわけにはいかなかった。
とにかく私は樹くんにお礼のLINEを返信し、北斗に直接確かめてみることにした。
そして、今日。
私は必死の思いで北斗にスマホの写真と複数の情報を手に問い詰めた。
――心のどこかで、否定してほしい自分がした。
「それは俺じゃないよ」って、「俺が愛してるのはAだけだよ」って、
そう、言って欲しかった。
でも、運命は残酷だった。
北斗は何一つ顔色を変えることなく、その写真を見て頷いた。
北斗「……うん。それ、俺。隣にいる女の子は、俺の浮気相手。」
北斗は何食わぬ顔でそう言い放った。
その瞬間、私の心は一瞬にして凍りついた。
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作者名：すのうHIINA | 作成日時：2023年4月2日 23時
