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Aside


「目黒くん!!お待たせ!!」



私は家を飛び出すと、走って会社に向かって行った。



オフィスに入ると、目黒くんが頭を抱えていた。



蓮「先輩……!!本当にすみません、帰社したばっかだったのに……」



「いいの、気にしないで。私なら全然平気だし。むしろ、頼ってくれてありがとう。」



蓮「……先輩、本当ありがとうございます……」



「はいはいwwじゃ、どこトラブった?教えて。」



蓮「はい、ここなんですけど……」



目黒くんの席に座って、パソコンに映し出された表を見ていく。



「……あ、了解わかった。」



蓮「マジすか!?」



「うん。目黒くん、他に残った仕事は?」



蓮「あ、えっと……この書類です。」



「りょーかい……あとは私がやる。目黒くんは帰りな?昨日も遅くまで残ってたでしょ?」



蓮「……でも、先輩も……」



「あーいいのいいの!!目黒くんに倒れられたら仕事大変になるでしょ?……早く帰って休みな。ほら、早く早く!!」



蓮「……すみません、先輩。」



「気にしないで。ほら、早く帰る帰る」



私は目黒くんの背中を思いっきり押すと、親指をぐっと立ててニッコリ笑って見せた。



目黒くんは申し訳なさそうにお辞儀をすると、オフィスから出て行った。



静寂が訪れたオフィスに私はパソコンに向き直る。



これくらいの仕事であれば、すぐに終わる。



仕事をしている時は、色んな悩みを忘れられた。



無我夢中に仕事に打ち込めるから、なにも余計なことを考えずに済むのだ。



でも、気が付けばデータは復元して書類も作り終えていた。



時計を見ると、時刻は12時前。



帰ろうと思えば帰れる時間だが、帰りたくなんかなかった。



家には、北斗がいるから。



そっと顔を俯かせて、今まで溜めていたため息を吐き出す。



思い返せば思い返すほど腹が立ってくる。



それと同時に、悲しくもなってくる。



私は泣くもんかと我慢しながら、目元をごしごしと擦った。



今泣けば、明日に堪える。



きっと泣いたら目が腫れて、会社の人に色んな勘繰りをされてしまうだろう。



私は、強くありたい。



弱くなりたくない。



だから、今泣くことだけは絶対にしない。



そう決めると、私はそっと瞼を閉じた。

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作者名:すのうHIINA | 作成日時:2023年4月2日 23時

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