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Aside
「……本気で分かってんの？」
夜のリビング。
私はギュッと拳を握りしめて呟いた。
私の目の前のソファーに座っている北斗は、黙ってどこか違う方向を向いている。
「……ねぇ、聞いてんの。」
私は震える手を押さえながら、北斗を睨み付ける。
北斗はどこかぼーっとして、私の話を聞くそぶりもない。
すると、私たちの間にある机の上に置いてあった北斗のスマホが音を立てた。
スマホの振動が机に伝わって、大きな音が鳴る。
視線をスマホの方にやると、スマホには『北斗？そっちどんな感じ？？』と、あの女からメッセージが届いていた。
私は思わずスマホの電源を切った。
「……ふざけてんの？」
北斗「…………なにが？」
「……はぁ？わかんないの、？」
私は殴りかかりそうになる気持ちを必死に抑えて北斗を睨み付けた。
「その態度だよ……反省してんの？……私がいながら、浮気したくせに。」
北斗「…………」
「それなのに、北斗は反省しないの？」
北斗「…………」
「……ねぇ、なんか言ってよ。」
私は涙が溢れそうになった。
でも、必死に抑えた。
今の北斗にこんな弱い姿見せたくなかった。
完全に北斗に付け込まれてしまうから。
「……私は、北斗とは別れるつもりはないから。……北斗はその人と別れて。」
私がそう言うと、北斗はふいっとそっぽを向いた。
その様子にイライラがたまっていく。
すると、今度は私のスマホの着信音がリビングに響き渡った。
私は北斗に背を向けて、電話に出た。
「……もしもし？」
蓮「先輩！！すみません、こんな遅くに……」
「平気だよ、どうした？」
蓮「ちょっとトラブルが起こってしまって……明日までに提出のデータがわからなくなってしまって……本当に申し訳ないんですけど、来ていただけませんか？俺１人じゃ、どうにもできなくて……」
後輩の目黒くんからの連絡だった。
彼はまだ入社して１年の新人だ。
無理もない。
「……わかった。すぐ行くからそこで待ってて。」
蓮「はい、ありがとうございます！！すみません、本当に……」
「いいよ、気にしないで。じゃ、また後で。」
電話を切ると、脱いだばかりのジャケットとバッグを持った。
「……仕事でトラブったから行ってくる。」
そう言っても、北斗は返事さえしなかった。
私はギュッとジャケットを握りしめて、黙って家を出た。
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作者名：すのうHIINA | 作成日時：2023年4月2日 23時
